テレワークと呼ばれるリモートワークは、多くの企業で導入されつつあります。
テレワークという働き方は、従業員一人一人の事情を汲み取れる柔軟な働き方であることはもちろん、感染症流行に対する自宅待機や自然災害など、外的要因で出社が難しい場合でも業務を止めることなく行えることも利点です。
また、業務の拠点を個々人に分散することにより、突発的な事象に対してリスク分散を行うことができます。
しかし、テレワークを効率的に運用するには、「テレワーカーの労働時間や業務をどのように管理していくのか」が重要です。
管理部を悩ますテレワークの業務管理を各々の企業がどのように工夫しているのか、便利なテレワークツールと一緒にご紹介いたします。
昨今のテレワーク事情
テレワーク導入が進む背景に、少子高齢化や核家族化、ネットワーク技術の躍進、政府による働き方改革の推進など様々な要因があります。近年のテレワーク事情について触れていきましょう。
少子高齢化・核家族化
近年、核家族化が進むことにより育児や介護の負担が働き盛り世代に大きくのしかかるようになりました。
また、育児や介護だけでなく、自身の病気や自然災害などの外的要因で、スキルがあり働きたくても出社ができない人もいます。
働き手不足の今、このような人をすくい上げるためテレワークが進んでいます。
ネットワーク技術の向上
テレワークを支えているのは、ひとえにネットワーク技術の向上です。
ネットワーク技術の進歩は目まぐるしく、日々性能の向上や新しい機能の追加が行われています。この技術の向上が、テレワークによる業務を容易にし導入への大きな下支えとなっているのです。
政府による働き方改革の推進
政府が示す働き方改革「一億総活躍社会実現に向けた最大のチャレンジ」の目的の一つは、様々な事情を抱える人たちが多様な働き方で社会活動に参加できるようにすることです。
その中で、一人一人の事情に合わせられる働き方とされているのがテレワークであり、政府によるテレワーク普及の取り組みもなされています。
【参考】「働き方改革の実現_首相官邸ホームページ」
【関連記事】「働き方改革とは?テレワークに期待される新しい働き方」
テレワークのメリット・デメリット
テレワークは、社員の囲い込みや人材確保に大きな役割を持つ働き方ですが、その反面、労務管理や人事評価の難しさがあります。
テレワークのメリット・デメリットを理解し、テレワーク導入の際に留意すべき点についての理解を深めましょう。
テレワークのメリット①柔軟な働き方ができる
テレワークの最も良い点は、場所や時間にとらわれずに業務を行なえる点です。
育児や介護、自身の病気や怪我、災害などで出社できない場合でも、自宅やサテライトオフィスなどで業務を行うことができます。
テレワークのメリット②業務の効率化
通勤や移動にかかる時間を業務やプライベートにあてることができ、時間の節約が可能です。電車などの遅延や運休、事故渋滞に左右されることなく、安定して業務に従事できることも利点です。
テレワークのデメリット①勤怠管理の難しさ
テレワークのデメリットの一つが、会社の外で業務を行うため実際に働いているかどうかの確認が難しい点です。
かつて、テレワークの先駆けとなっていた大手企業が在宅勤務を廃止を決めたのも勤怠管理の難しさが一因となっています。
テレワークのデメリット②コミュニケーション不足
実際に出社して顔を突き合せて仕事を行う場合と比べて、テレワークはコミュニケーション量が圧倒的に少なくなります。
たわいもない話から新しい発想やアイデアが生まれるという環境がなくなり、チャットツールなどを用いて意識的にコミュニケーションを取らないと業務効率が下がる場合もあります。
【関連記事】「テレワークを導入するとどうなる?メリットと事例」
どうする?テレワークのマネジメント
テレワーク導入にあたり、最も頭を悩ますことになるのが勤怠や人事評価の管理者です。
見えない社員をどう管理していくか、業務効率はあがるのか、テレワーカーと充分なコミュニケーションが取れるのか、多くの課題や不安を抱え導入に二の足を踏んでいる会社も多いことでしょう。
以下にテレワークの導入に際し抑えるべきポイントについてご紹介します。
テレワーク導入目的の明確化
テレワーク導入が検討される際、何かしらのきっかけがあります。社員の離職防止や、業務の効率化、外的要因で出社が困難な場合の緊急的処置としてなど理由は様々です。
どちらにしても目的を明確にすることで、テレワーカーの勤務形態や給与体系を定めやすくなります。
ルールの策定
テレワークができない職種の社員に不公平感を与えないよう、テレワーカーがきちんと機能するよう、テレワーカーの就業規則は明確化する必要があります。
テレワークを選択できる対象者、勤務場所、服務規律、労働時間、休息、出退勤管理、通信費などの費用負担、機器の貸与など定めるべきことは多いですが、テレワークは労使間の信頼のもとに成り立つ働き方ですので守るべきルールは大切です。
各種ツールの整備
会社と自宅またはサテライトオフィスを繋ぐため、大きく分けて3つのツールの準備が必要となります。それは、勤怠管理ツール、情報共有化ツール、コミュニケーションツールなどです。
また、ネットワーク上でのやり取りが多くなりますので、セキュリティーツールの見直しも必要となります。
テレワークに不可欠な3つのツール
テレワーク導入、運用の際には大きく分けて下記の3つのツールが必要となります。それぞれのツールの役割に対する理解を深め、自社に合ったツールを準備していきましょう。
勤怠管理システム
出勤、退勤、有給申請など勤怠に関わる様々な管理が可能で、打刻方法も設定こそ必要ですがスマホやタブレット、自宅PCから行うことができるようになります。
システムによっては、正社員やパートだけでなく出来高制の工数管理や、給与計算ソフトと連動可能なものもあるでしょう。
< 勤怠管理システムの一例 >
・ジョブカン https://jobcan.ne.jp/
・キングオブタイム https://www.kingtime.jp/record/
・マネーフォワード https://biz.moneyforward.com/attendance
情報共有化ツール
ファイル形式の資料や、データベースなどを共有し、顧客情報、発注情報、人事情報など社内業務に関わる様々な情報をネットワーク上で共有します。
同じデータを共有するので、管理に注意が必要となりますが、社員全員が同じ情報を共有することが可能です。
< 情報共有化ツール一例 >
・Drop box https://www.dropbox.com/ja/
・GoogleDrive https://www.google.com/intl/ja_ALL/drive/
・box https://www.box.com/ja-jp/home
コミュニケーションツール
社内コミュニケーションに必要不可欠なツールです。
通話だけでなくテレビ電話として会話出来たり、1対1の通話だけでなく複数人で会議を行なえるなど様々な場面での活用が可能です。チャットとして利用もでき、確認や連絡事項など記録が必要な場面でも重宝します。
< コミュニケーションツールの一例 >
・Slack https://slack.com/intl/ja-jp/
・Chatwork https://go.chatwork.com/ja/
・Skype https://www.skype.com/ja/
テレワークの見える化アイデア
テレワーカーがきちんと社員として働けるよう多くの会社が様々な工夫を行っています。様々な取り組みをとおし、テレワーカーと会社との結びつきを深め円滑な業務遂行を目指しています。
位置情報の管理
出勤・退勤時にスマホでタイムカードを打刻することによって位置情報が記録され、テレワーカーの動きが把握できるツールです。
また、スマホによる位置情報は、在宅業務だけでなく、外周りの多い営業業務を行うテレワーカーの管理や業務の効率化に役立ちます。
タブレット端末による空間共有
テレビカメラになるタブレット端末をテレワーカーと会社それぞれに設置し、常時接続することで空間共有を図ります。
テレワーカーは会社の様子、管理者はテレワーカーの様子がお互いに確認でき安心して業務を進められるという取り組みです。
まとめ
テレワークのマネジメントは、導入前に「何を目標としているのか」を明確にし、きちんとしたテレワークの就業ルールを定めることが肝心です。
実際の運用に、勤怠管理システムや情報共有化ツール、コミュニケーションツールは確かに必要不可欠といえるでしょう。
しかし、大前提である目標やルールを定めないまま導入に踏み切ってしまうと、労使間の認識の違いやテレワーカーのモラル低下によって業務効率が下がったり、社内の関係が悪化する恐れがあります。
互いが気持ちよく業務を行えるよう、目的やルールを明確にするとともに、ツールなどの周辺環境を整えることが管理者に求めらることです。
雇う人も働く人も、ともにより良い働き方を実現するため、効果的なテレワーク導入を検討していきましょう。
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