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コールセンター外注のよくある失敗事例4選!対策と委託先選びのポイント

2021年5月31日 09:00 カテゴリー : BPO Times

コールセンター業務を専門とする外部の代行会社へ外注する企業が増加しています。人員不足の解消やコスト削減、品質向上など自社業務を外注するメリットは多く、企業の顔となるコール業務においても、専門代行業者へ委託する企業が増えているでしょう。

今回は、増加傾向にあるコールセンター業務の外注化についてと、コールセンター運営の失敗事例を4つ紹介します。

失敗から考える対策と外注先を選ぶポイントについてを把握し、スムーズで後悔のない外注化を目指しましょう。

コールセンターやコール業務の外注とは?

コール業務は、受電を行う「インバウンドコール」と、発信を行う「アウトバウンドコール」の大きく2つに分けられます。

コールセンターは、顧客と直接やりとりを行うため、企業の顔ともいえる重要な役割を担う業務です。現在は、人員不足の解消やコスト削減、CS(顧客満足度)向上など多くのメリットを理由にコールセンター業務を外部へ委託する企業が増加しています。

委託できる業務とは?

コール業務はインバウンドコール、アウトバウンドコール、どちらも委託することができます。一次受付として取次作業のみはもちろん、注文受付から決済業務、カスタマーサポート業務、クレーム対応まで幅広い外注が可能です。営業活動として活用されるアウトバウンドコールにおいては、サービスの提案や売り込み、アンケート実施など幅広く委託することができるだけでなく、専門とするプロフェッショナルへ依頼することができるメリットもあるでしょう。

また、コールセンターを新たに立ち上げる場合や業務フローの構築、見直しなど、実際の受電や架電の業務以外に、それらに付随する業務や全体の効率化などを依頼し、クオリティアップを目指すこともできます。

コールセンター外注化の費用相場

インバウンド、アウトバウンドともに、初期費用月額基本料金(管理費)などが発生します。初期費用は、業務フロー構築の有無やシステム導入など、1万5千円程度から必要に応じて大きくことなります。基本料金や管理費は、業務の難易度や人員配置の規模、稼働時間帯などにより変動するため、事前の見積りで確認しましょう。

インバウンドコールでは、一定の件数による定額固定型や、受電件数による従量課金型があります。アウトバウンドは発信件数に応じた従量課金に加え、業務の専門性や内容、架電結果によって成果報酬などが加算される場合もあるでしょう。

また、オペレーターによる受電や架電業務だけでなく、業務の可視化やマニュアルの作成、業務フローの構築など、コール業務に付随するその他のサービスを委託することができ、求めるサービス内容などによって料金は大きく異なります。

コール業務の専門企業なのか、もしくはその他の業務も委託できるのかなど、自社が求める範囲での対応が可能な外注先かを事前にしっかりと確認しましょう。

失敗事例①人員配置の読み違い

コール業務は、様々な要因により受電件数が大きく変動します。そのため、過去の数値を基にした適切な予測が必要となります。

人手不足を解消することを目的に外注する場合、事前の準備が重要です。

適切な人員配置が困難

コールセンターを安定稼働させるには、適切な人員配置が大きなポイントです。しかし、労働人口が減少している現在において、自社で適正人数を雇い入れることは難しく、余剰人員を出すことを避ける点でも、適正配置は困難と言えます。

外注することで、必要な人員を確保し安定的に稼働させることはできるでしょう。ですが、受電や架電のどちらにおいても、戦力として稼働するためには一定の研修などが必要になり、人員不足をすぐに解消することはできません。そのため、アウトソーサーに依頼してどの程度の期間で人員補充ができるのか確認し、無理のないスケジュールで進める必要があります。

瞬間呼が読めず対応しきれない

インバウンドコールは、番組やCM、広告など何らかのきっかけによってコール数が瞬間的に増加することがあります。瞬間呼が予測できず、顧客からのコールを取りこぼしてしまうことで、受注業務などにおいては売上に大きく影響を及ぼします。また、取りこぼしや待たせる時間が長くなるほど、企業イメージにマイナスな印象を与えかねません。

普段から、入電数の多い時間帯や時期によって必要なリソースを適切に予測し、正確な管理ができる体制を作ることはもちろん、広告などによって瞬間呼が増加するタイミングを分析し対応策を立てることが大切です。

分析による適正配置で業務効率の低下を防ぐ

受電業務の内容やユーザー層によって、受電数が増加する時間帯や曜日は異なります。センターにあった人員配置を行なうためには、ピークや瞬間呼が増加するタイミングを把握しておくことが必要です。過去のデータから分析を行い、入電数を予測して適正配置を行いましょう。

また、コールセンターに在籍している自社のオペレーターと外注先のオペレーターの割合などを工夫し、適切な人員配置で業務効率の低下を防ぎましょう。

外部へ委託する際は、十分なオペレーターが確保できるかどうか、さらに必要に応じて柔軟に対応可能かを確認し、事前に見極めることも重要なポイントです。

失敗事例②情報共有や連携の難しさ

社内の業務を外へ出すことによって起こるのが、情報共有の難しさによって起こる問題です。企業間での情報共有のほか、社内での情報共有もとても重要です。

外注先との情報共有が成功のカギ

委託する業務の範囲により共有すべき情報量は大きく変わるため、業務構築の段階でも密に連絡・共有し準備を進めることが大切です。フローの確認やシミュレーションを行ない、実際にコール業務を担う人員が戸惑わないようにすることが大きく結果を左右させます。

どこまでを委託するのか、どこまでの対応が可能なのか、しっかりとすり合わせを行なうことが得策です。

また、自社・外注先ともに、コール業務を実際に行うオペレーターが情報共有しやすい環境や仕組みを作ることが大きなポイントとなるでしょう。

外注することが社内で共有されていない

コア業務に注力できず外部への委託を検討している場合、これまで業務を担っていた担当者との情報共有は重要です。担当者を抜きに他企業への外注をすすめようとしてしまう企業も少なくありませんが、これまで培ってきた現場のノウハウを活かすことができず、トラブルになる可能性があります。

スムーズな外注化を成功させるためには、担当者を含め細かな情報共有や引継ぎ、スケジュール設定などを行ないましょう。

まずは情報整理と共有方法を確立する

安定的に業務を行うために何が必要で何が重要か、しっかりと共有し互いに把握することが大切です。そのためには目的や背景について認識合わせを行い、必要な情報を整理しましょう。

さらに、どのように共有するかを確立することも重要です。常に最新の情報を共有し合うためにはどういったツールを使うべきか、最新の状態を保つためどのような方法を導入するのかなど、情報の種類やコールセンターの環境、また導入コストなども含め精査しましょう。

失敗事例③うまく行かないDX化

DX(デジタルトランスフォーメーション)はデジタルによる変容を指し、デジタル技術を活用することで製品やサービス、ビジネスモデルを変革し、優位性を確立することとされています。

それは、単にIT化を進めるのではなく、戦略的な変革がなければ導入する意味がありません。

コストをかけたが活用しきれていない

大きな予算を投じてシステム導入してみても、必要に迫られる操作のみの使用にとどまり、活かしきれていないといった企業も少なくありません。現在は、さまざま業務に対しIT化が進められていますが、戦略的な導入とは違い、効率化にとどまっていると言えます。

ツールやシステムを導入したものの、それらを効果的に活用するための準備や研修などに時間を確保できず、必要最低限の利用によって無駄なコストだけを支払っているパターンも少なくないでしょう。

人材スキルがシステムに付いていけない

新たなビジネス環境に対し、スムーズに順応できないといった人材は一定数存在します。

これまでアナログ的に行なってきた業務をデジタルに変更するだけでも、安定稼働ができるまで業務効率が一時的に落ちる場合があるでしょう。

しかし、安定的に業務が行えるようになるまで、予想以上に時間がかかったり、大きなミスに繋がったり、そのフォローをする人員が必要になるなど、これまで不要だった作業が増えてしまうことも少なくありません。

外注先で対応しているシステムを選択する

システム導入に関し専門的な知識を持つ人材がいない企業や、コールセンターの運営管理に手間がかかりリソースが不足しているという企業が多い傾向にあります。

導入の際は、研修やステップアップ、または分析や運用にどの程度の時間と人員を確保できリソースを充てることができるのか、事前にしっかりと確認しましょう。

また、自社にあった適切なシステムを選択することも重要です。現在では、分析や研修なども外部へ委託することができるため、依頼するアウトソーサーが対応しているシステムを事前に把握し選択することも検討しましょう。

失敗事例④立ち上げ時のマニュアル化

コールセンターの立ち上げ時や外注する際、業務の可視化やマニュアル化がされているかにより、その後の流れに大きな違いを生みます。

マニュアル化に時間を要する

コール業務は、トークスクリプトを作成し共有している企業がほとんどです。しかし、トークだけでなく、FAQやコールに付随する業務のマニュアル化が出来ていない企業が多くあります。オペレーターが経験によって対応してしまっていたことで、実際にマニュアル化を行なう際、時間を要してしまうこともあるでしょう。

マニュアル化が進まなければ、委託先のオペレーターへ業務を渡すことができません。通常の業務のほか、マニュアル化を進めることは人員不足しているセンターでは大きな負担となります。

マニュアル作成のためにコストが高くなる

リソース不足によってマニュアルの作成が進まない場合、業務の可視化やマニュアル化、業務フローの見直しなどを丸ごとアウトソーサーへ依頼することができます。

業務を外部へ委託する場合、すでに人員配置が間に合っていない傾向にあるため、マニュアルや効率化まで委託できるのは魅力的でしょう。

しかし、予定よりもコストが大幅に高くなってしまうといったことも考えられるため、事前に確認が必要です。

リソース確保とクオリティの担保を目的に外注を行う

マニュアルの作成にも一定のスキルが必要とされます。そのため、これまでコール業務だけを行なってきたオペレーターへ丸投げすることは難しいでしょう。

現在では、業務効率化や可視化、マニュアル作成など、業務フローの見直しを行っている企業も多いため、自社のリソースで捌くことが困難な場合、アウトソーサーへ依頼することが得策です。

予定よりもコストがかかったとしても、リソースの確保や今後の業務効率化を考えると、自社で対応するよりもメリットは多いと言えます。

まとめ

コールセンター業務は、企業の顔ともいえる重要な役割を担います。

このような重要な業務を専門とする外部へ委託し、電話応対によるCS向上を目指すなど、外注する企業は増加傾向にあります。現在は、自社でのコール業務を手放し、完全に外部へ委託するスタイルに切り替える企業もあるでしょう。

それぞれ、人員の適正配置やリソース不足、業務の効率化など、さまざまな課題から外注の検討を行ないます。しかし、これまでの業務を整理し外部へ委託する作業や、自社の機密情報の共有が必要となる可能性もあるため、準備や構築にはある程度のエネルギーと繊細さが必要です。

失敗事例をもとに、効率のよいスムーズな外注化を進め、コール業務の活性化と業務効率化を目指しましょう。

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