株式会社船井総合研究所
インダストリアル DX 支援本部 労務ビジネス支援本部マネージャー
能登谷 京祐 様
ビジョン税理士法人 代表社員
鈴木 宗也 様
ビジョン税理士法人 執行役員・リーダー
藤原 由美子 様
Mamasan&Company 代表取締役
田中 茂樹
田中:船井総研の能登谷さんは、いってみれば Mamasan&Companyを会計事務所の業界にご紹介くださった方です。
能登谷様: 私は船井総研で、会計事務所を対象としたコンサルティング事業の責任者を務めていました。日本の会計事務所が抱える、まさに慢性的な問題として「人手不足」があります。記帳入力などのいわゆる単純作業に割ける人的リソースは年々減ってきている。
そんななかで BPOやアウトソーシングといったかたちは、会計事務所と相性が良いはずだと思っていました。でもなかなか業界全体的に浸透していかない……。
そこで「会計業界×BPO 領域」というテーマをもっと持ち上げていこうと考えたのが、コロナ禍明けの 2022 年くらいのことでした。そしての翌年、関連するセミナーを企画していく中で、Mamasan&Companyの存在を知りました。田中さんのお話をうかがったところ、リモートの活用方法をはじめ、その働き方が「これはまさに!」といった感じでした。
この働き方を会計業界に”移植”できたら、すごく面白いのではないかと考え、正式にセミナー講師のオファーをさせていただいた、というわけです。
田中:そのセミナーで参加者としてたまたま隣の席に座っていたのが、ビジョン税理士法人の鈴木先生だったんです(笑) もちろん私が登壇した際の話を聞いていただいた上だと思いますが、Mamasan&Companyに非常に興味を持ってくださって。
鈴木様:私たちビジョン税理士法人は横浜・戸塚・渋谷を拠点とする50 名ほどの会社です。基本的に法人のお客様をメインに、数字から紐解く経営支援を行っているのですが、一方で、記帳作業などのアナログな業務もたくさん受けているんです。
実は、もともと私たちも10年以上前から「ママさんを活用した外注化」に取り組んでいました。しかし、それはただ単純作業を個々に依頼している……というだけにとどまっていて、何の組織化もできてはいなかった。そこに、モヤモヤしたものを感じていたんです。
私も経営者の端くれとして常々感しているのですが、会社経営で一番難しいことといえば、それは「組織化」です。しかし田中さんのお話を伺って、いつも社内で顔を合わせている人材の組織化さえ難しいのに、業務委託の人材をここまでうまく組織化できているのか、と感じたんです。「遠隔なのに組織ができている」……私からすればあり得ないようなことです。じゃあそれってどんなふうにやっているのだ ろ う か と 興 味 が湧き 、 さ ら に い ろ い ろ と お 話 を 聞 く こと に な っ た の がMamasan&Companyとのお付き合いのきっかけです。
田中:現在、ビジョン税理士法人で「経理の BPO」を新たな事業として盛り上げていくプロジェクトの責任者が藤原さんです。
藤原様:法人のお客様とお会いすると、もちろん会社の数字のお話もしますが、それと同じくらいよく話題になるのが「人が足りない」という問題なんです。経理の仕事は少し特殊で、簿記の知識などが必要になる。そのため、採用も非常に難しい状況のようです。そうした問題の解決をお手伝いできないかというところから、このプロジェクトが始まりました。
先ほど鈴木も少し触れていたように、外注作業はどうしても「一方的にお願いしておしまい」となってしまい、組織化が難しいですよね。それを組織として、たとえば報告がしっかり行われたり、チェック体制が整っていたりするようなかたちにしたいという思いがありました。そこで Mamasan&Companyの研修にも参加した、というのが始まりでした。
田中:現在皆様には Mamasan&Company のコーチングサービスを導入していただき、私たちのコミュニティ「COSMOS」にもご参加いただいています。そうした中で、皆様が 今Mamasan&Company をどうご覧になっているのか、私自身とても興味があるのですが。
能登谷様:「業務の進め方」という観点が、従来の会計事務所ではまったく考えていなかったところにある、ということは、セミナーに参加された会計事務所の方々にとっても驚きだったことでしょう。
たとえば所内にいる人であれば、何となく「この人なら 1 時間でこれくらい仕事を進めることができるよね」……といった予想が付く。でも Mamasan&Companyでは、別々の人が 10 分刻みで交代で仕事をしても同じ成果が得られる。この”業務の因数分解”という手法は、これまで誰も考えたことがなかったでしょう。
「ジョブ型雇用」という言葉がビ ジ ネ ス の キ ー ワ ー ド に な り つ つ ある一方で 、「 人 が 採 れ な い 時 代 」。 そ ん な 中でMamasan&Companyの発想は、会計事務所にとっても絶対に取り入れなければならないものだということに気づきました。同時に、「ボスママ」を中心としたコミュニケーションの仕組み。これも多くの人の心に刺さったはずです。
田中:Mamasan&Companyのコーチングサービスは、ビジョン税理士法人様にも受けていただいていますが、コーチングって、それを受けたからといって即売上がアップするというものではありませんよね。ある意味“賭け”みたいなもの。たとえば、鈴木先生が私たちのやり方に共感されて、それを自社に持ち帰ったとしても、そのやり方を実際に使って事業を推進していく立場の藤原さんには、また違った思いがあったかもしれません。ぶっちゃけ、半年間に渡る Mamasan&Companyのコーチングを受けた中で、藤原さんご自身にはどんな心境の変化があったのか。 手応えを感じた部分、また、逆に不安に感じたことは何だったのか。……そういったところを、ぜひお聞かせいただければと思うのですが。
藤原様:Mamasan&Companyのコーチングは、はじめのうちはいわゆる「座学」が多かったのですが、次第に実際のお客様との面談のサポートに入っていただくなど、直接の体験を通じた学びの機会が増えてきました。
私自信も一緒にコーチングを受けた 3 人のメンバーも、そのための準備もしましたし、実際に体験することで、それぞれ皆がステップアップできたかなと感じています。
鈴木様:私としては、Mamasan&Companyの素晴らしさは、やはりその“組織化の仕組み”にあると思っています。
たとえば会計事務所であれば、会計や給与計算など、ある程度の経験者を集めて“組織化”を進めたいですね。そのことによって「精度の高い会計チーム」ができるのではないかと。現在、そのための準備も進めているところです。
最後に
能登谷さんが最初におっしゃっていたように、BPO と会計事務所の仕事は、とても相性が良いと思うんです。ところが不思議と会計事務所は企業の経理業務(本来BPO が担うような部分)に意外と入り込んでいない。「バックオフィスの業務はすべて会計事務所がやっているよ。」これからは、企業規模を問わずそのようなかたちを目指すべきではないでしょうか。
企業にとってはコア業務に集中できるメリットがあるし、会計事務所にとっても売上の向上につながるわけですから。「バックオフィスはすべて会計事務所が」この世界観をぜひ作り、現実にしたい。それは決して難しいことではないと思っています。
Mamasan&Company 代表取締役
田中 茂樹