近年の新型コロナ流行によるリモートワークの必要性から、幅広い業務のペーパーレス化が求められています。経費精算業務は、運用システムの充実や度重なる法令緩和を受け、さまざまな業務の中で最もペーパーレス化がしやすい業務といえるでしょう。
経費精算システムはペーパーレス化への対応だけでなく、今まで大きな負担となっていた申請者や承認者、経理部門の精算業務を効率化し、生産性を高めることが可能です。さらに、システム導入時に外注業者を活用することで、社内の業務負担も大幅に減らすこともできます。
システム導入や外注業者の活用で経費精算の「めんどくさい」を解決し、社員の生産性を高める働き方改革を実現していきましょう。
コロナで加速したペーパーレス化
新型コロナウイルスが猛威をふるい、今までより一層、ペーパーレス化を進める企業が増えています。新型コロナウイルス感染拡大とペーパーレス化とはいったいどのようなつながりがあるのか、その背景と必要性について見ていきましょう。
新型コロナ流行による働き方の変化
新型コロナ流行による働き方の変化
2020年4月に発令された緊急事態宣言の際には、都市部では多くの企業が在宅勤務を求められ、リモートワークを強いられました。接触機会を減らすための企業によるさまざまな取り組みの結果、時差出勤や交代勤務、テレワークの在宅勤務やサテライト勤務など多様な働き方スタイルが生まれています。
働き方や勤務場所が多様化するに従って、オンラインでのやり取りが常態化し、紙媒体での情報の共有が難しくなっています。そのため、業務のペーパーレス化や脱ハンコ化が、ますます強く求められるようになりました。
紙媒体では業務が進まない実態
3密を避けるため常駐する社員を減らしたり、交代勤務やテレワークを進めている企業にとって、今までのような紙媒体による書類のやり取りでは、円滑な業務を行うことが難しくなっています。
特に、経費精算の申請は、承認者や経理の確認、差し戻し対応など人の手を介する業務が多いため、紙媒体で運用すると確認を行うだけで大幅な時間と手間が必要です。また、出社を求められる社員が行う事務業務の負担も大きくなるうえ、全体的な業務効率も下がってしまう恐れもあるでしょう。
IT技術の躍進と安定したネット環境
「DIGITAL 2019」によれば、日本のインターネット普及率は94%、固定インターネット回線速度は91.9Mbpsと世界トップクラスとは言えないものの、世界的な平均基準から見れば安定したネット環境があります。ペーパーレス化には安定したインターネット環境が必要ですが、日本は必要充分な環境があるといえるでしょう。
このネット環境に加え、IT技術の躍進によるさまざまなITサービスの充実が、業務のペーパーレス化に一役買っているといえます。
【参考】「【2019年版】世界のインターネット普及率&回線速度ランキング」
経費精算から実現する働き方改革
経費精算は定型の業務がその大半を占めるため、比較的ペーパーレス化しやすい業務です。その割には業務量が大きいため、システム導入によるペーパーレス化で、業務効率化が最も実感できます。
経費精算はペーパーレス化しやすい業務
現在の経費精算システムには様々な機能が備わっています。その中でもペーパーレス化を可能にする機能が、電子帳簿保存法に対応できるスキャンデータに付与するタイムスタンプ機能です。この機能があることで、書面での管理が不要となり、紙を使わない経費精算業務が実現できます。
さまざまなITサービスが充実していること、ペーパーレス化を推進する政府の後押しもあり法令緩和が進んでいること、この2点からも最初にペーパーレス化を行うなら、経費精算業務が取り組みやすいでしょう。
電子帳簿保存法に対応したシステムの選び方
システム導入でペーパーレス化を図るためには、電子帳簿保存法に対応していることが重要です。この機能があるかないかで、領収書の保管方法が異なり、かかる手間が大幅に変わります。領収書などのスキャナ保存に関わる要件を満たすシステムを選ぶ必要がありますが、度重なる法改正や要件の判りにくさから、判別するには相応の知識が必要となります。
判別するための一つの指針として、国税庁公認の第三者機関である「JIIMA(公益社団法人日本文書情報マネジメント協会)」の認定を受けているかを確認すると良いでしょう。JIIMAは電子帳簿保存法に対応可能なスキャナ保存の法的要件を満たすソフトウェアの認証を行っています。こちらの認証を持つ経費精算システムは電子帳簿保存法に対応しているため安心です。
【参考】「JIIMA(公益社団法人日本文書情報マネジメント協会)」
システム導入でペーパーレス化し 働き方改革を
ペーパーレス化によってもたらされるのは、オフィスコストの削減や環境保護だけではありません。紙媒体の運用で行っていた書類の整理や管理の業務負担を減らし、手作業で行っていた入力作業の自動化やフローの徹底による内部統制の強化、規定の遵守などさまざまなメリットがあります。
特にテレワークという柔軟な働き方をサポートする「オンラインで完結」する業務に落とし込むことができることは、働き方改革の大きな助けになるでしょう。
社員の「めんどくさい」を解決する
株式会社マネーフォワードの調べによると、経費精算を面倒に感じている人は7割を越え、経費精算の煩わしさに自己負担したことがある人は4割を越えます。社員が経費精算を煩わしく感じる理由について見ていきましょう。
【参考】「【経費精算に関するアンケート調査を実施】|株式会社マネーフォワード」
経費精算を「めんどくさい」と感じる理由
経費精算を面倒だと感じる理由はいろいろあります。申請者目線からその理由をあげると、社内規定にあわせた必要事項や領収書内容の手入力、領収書の添付や交通費の計算などの手間が挙げられるでしょう。また、精算期限が月末月初の忙しい時期に重なったり、上長の承認を取るのにも時間がかかることや申請内容の不備による差し戻しがあることなども煩わしさを感じる原因です。
さらに、経費精算は申請者のメイン業務に直接の影響があるわけではないため、就業時間に申請作業することに引け目を感じたり、メイン業務を優先して後回しにしてしまう傾向もあります。
経費精算システムで「めんどくさい」を解決
経費精算システムには申請の手間を減らすため、手入力の煩わしさを軽減するための交通費の自動計算や社内フローにあわせた自動入力、領収書の添付を不要とするスキャンとタイムスタンプ機能、差し戻しによる時間ロスを減らす自動差し戻し機能などのさまざまな機能を備えています。
また、専用アプリサービスのあるシステムを利用すれば、スマートフォンから24時間どこからでも経費精算の申請ができるようになるため、仕事の空き時間に手軽に申請手続きを進めることも可能です。承認もオンラインで受けることができるので、上長の承認を求めて直に書類を提出する必要もなくなります。申請が簡易になることで、申請者が経費精算を月末月初にため込むようなことも減るでしょう。
経理部門の負担軽減に
システムの便利な機能は経理部門に対しても大きな利点をもたらします。申請時の自動入力や自動計算による確認作業の軽減はもちろんのこと、クレジットカードやプリペイドカード、ICカードの利用履歴の取込、会計ソフトとの連携や振込データの作成など経理精算業務の大幅な改善や効率化が期待できます。さらに、電子帳簿保存法に対応したシステムを利用すれば領収書の保管や管理の手間がほぼなくなるでしょう。
申請者がこまめに社内の経費精算フローに沿った申請を行うようになることで、差し戻し対応も減り、月末月初の忙しい時期に申請が集中することを避けられます。システム活用で、申請・承認・確認の業務負担を減らすことができるうえ、社員1人ひとりの生産性を向上させ、働き方改革の一歩を踏み出すこと可能になるでしょう。
外注を併用して社内業務スリム化を実現
経費精算システムは生産性の向上を目標とした働き方改革を実現するためにも、是非活用していきたいシステムです。月当たりの処理数が増え、業務を負担に感じ始めている場合は前向きに検討していく必要がありますが、システムの選定や導入方法に迷ったら一度外注業者に相談することも視野に入れましょう。
外注業者を活用しシステム導入をスムーズに
社内に新たにシステムを導入する際、経費精算規定の見直しや承認フローの洗い出し、申請者や承認者の役職や部門ごとのフローの設定などを行う必要があります。それと並行して、自社に最適な経費精算システムの選定をはじめ、選定後には社内機器へのインストールや社員一人ひとりのアカウント作成、権限や申請フローなどにあわせた各種設定、システムに関する社内教育などもあわせて行わなければならないため、担当者の負担は大きなものとなるでしょう。
こういった作業を経理業務に特化した外注業者と一緒に行うことで、担当者の負担を軽減し、最適なシステムの選定やスムーズな初期設定ができます。もちろん、設定業務をまとめて頼むこともでき、必要ならばシステムで補いきれない視認によるチェック作業や書類の管理などの周辺業務もあわせて委託が可能です。
業務効率化に外部の目を
経理に特化した外注業者を活用することで、システムの選定や各種設定が円滑になるだけではありません。経費精算規定や承認フローの見直しの際には専門家によるアドバイスが受けられ、社内だけでは見直しにくい部門をまたいだ規定やフローの改善、業務の明確化なども、外部の人間を入れることによって円滑に進めることができるでしょう。
外注を活用する大きなメリット
ノウハウ喪失や情報管理の観点から経費精算業務を外注することに抵抗を感じる人も多いでしょう。しかし、システム導入後の経費精算業務は作業的な業務が多く、マニュアルの共有でノウハウを維持できますし、セキュリティ対策をしっかり行っている業者を選ぶことで情報漏えいの不安を軽減できます。
外注することで得られるメリットは数多くありますが、中でも一番のメリットは人件費の削減ができることです。繁忙期における経理部門の残業代を減らすことはもとより、最低限の人員配置で済むため、より生産的な業務に注力できるようになります。業務量に対しての相応のコストはかかりますが、正社員雇用を維持するよりもコストが抑えられ、繁忙期の際に人手を確保する必要もなくなるでしょう。
また、社内だけでなく外部からのチェックも入るため、不適切な経費申請や不正経理の是正にも期待ができることもメリットの一つです。
まとめ
昨今のITサービスの充実は目覚ましく、今や経費精算業務は最もペーパーレス化しやすい業務の一つです。新型コロナウイルス流行の影響でテレワークに移行する必要性があることや政府のペーパーレス化推進や法令緩和という後押しもあり、ますますペーパーレス化の波が大きくなっています。
しかし、経費精算システムにはペーパーレス化にとどまらないさまざまな業務効率化のための機能が付与されており、申請者の面倒やミスを減らし、円滑な経理業務を行うための大きな助けとなります。時期によって増減する精算業務に振り回されることをなくすため、経費精算システムの導入と外注の活用を前向きに検討しましょう。
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