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会計業務を再確認!発注までの3つのプロセスを解説

2021年2月27日 10:00 カテゴリー : BPO Times

日本では企業全体の99.7%を中小企業が占めています。中小企業は人手不足が深刻化しているのにも関わらず、働き方改革関連法が適用され、社会問題でもある長時間労働の改善がより一層求められています。企業は生産性の向上による業務の効率化を目指し、中でも経営の中核でありながらノンコア業務である「経理業務」への人材を、なるべく最少人数に抑えるべく外注へ委託する「アウトソーシング」を考えるでしょう。

しかし、社内で行ったほうが良い業務もあるため、企業が抱える問題を解決に導くのに最適なアウトソーシングの利用方法を検討する必要があります。

ここでは、経理の業務と役割を再確認し、企業のアウトソーシングへ求める本来の目的を見つけだします。内製化またはアウトソーシングのどちらを選択するか3つのプロセスから解説し、判断基準と適切な外部委託先の選び方までを紹介します。

【参考】 「人手不足に対する企業の動向調査(2020年1月)_株式会社帝国データバンク」

外注するか内製化するかの判断

企業にとって人材不足は大きな問題です。アウトソーシングすることで人材不足を解消できますが、必ずしも有効な対策とは限りません。
ここでは、経理業務の再確認の重要性を解説し、アウトソーシングや内製化を選ぶ際の判断基準を3つのプロセスから解説します。

発注までのプロセスの流れ

プロセスの流れは大きく3つに分かれます。最初に行う作業は、経理業務の内容を再確認することです。この確認作業はとても重要で、経理が抱える問題と外部委託すべき内容が明確になります。次に、外部委託の目的と目的に応じた業務範囲を定めます。目的をはっきりさせることで効果的なアウトソーシング導入が可能です。最後に、外部委託にかかるコストと内製化にかかるコストを比較検討します。

経理業務を確認する重要性

効率の良いコスト削減を目指すため、現状の問題点を一つ一つ明確にして無駄な業務を排除します。これにより業務の簡素化が図れ、アウトソーシングする業務範囲を絞ることができるためコストを削減できるのです。
また、経理業務のどの部分に負担を感じているのか明らかにするために、業務を可視化し日常的業務から月次業務、そして年次業務に至るまでの再確認をします。そして、本当に必要な業務なのかを再検討すると、今後の改善点が見えてくるでしょう。このようなしっかりとした業務フローの見直しを怠り、全ての業務を委託業者に丸投げすると、無駄なコストが発生するリスクがあります。

外部委託の目的と業務範囲を決定する

業務委託範囲を決定するには、外部委託する目的を明確化します。人材にかかるコストを下げたい・従業員をコア業務に集中させたい・属人化のリスクを回避したいなど、自社の目的が明らかだと委託業者と業務内容のすり合わせが円滑に進むでしょう。
経理業務は細分化することが可能なうえ、それぞれの難易度も異なります。業務をどこまで任せられるかは、業務委託先によって異なるため、業務を切り分けておくことでコスト削減が可能です。

プロセス①中小企業の経理業務と役割を知る

大企業に比べて中小企業は人員が少ないため、経理業務の効率化が求められます。
ここでは、日本の大部分を占める中小企業の経理業務から解説していきしょう。

経理の仕事内容を確認する

経理業務は大きく「日常業務」「月次業務」「年次業務」の3つに分かれています。日常業務は、日々の現金や預金の入出金、そして日々溜まる領収書や請求書などの管理、売上金の計上、それらを仕訳して記帳などを行う仕事です。
月次業務では、売掛金・買掛金・預り金の計上や給与などの記帳業務を行います。年次業務では貸借対照表と損益計算書など、決算書の作成を行ったり、労務関係も一緒に経理が行っている場合は、年末調整も行うことがあります。

社内的な役割

経理担当者は日常業務を基に、数値化した経営状況をまとめた資料を作成し、できるだけ早く月次業務として経営者へ報告することが求められます。この報告が遅れると、必要な投資や採用などの経営判断が遅れやミスが起こり、場合によっては大きなチャンスを失う恐れがあります。

対外的な役割

経理担当者は毎月行う業務として、仕入先や購入先への支払いを円滑にするため、資金の確保や振込手配などが必要となります。この業務も会社の信頼問題になるため、重要な業務です。
また、決算月になると「棚卸作業」「減価償却費の計上」「引当金や貸倒金の計上」などの決算仕訳を行い「年次決算書」を作成します。その後決算書は、株主総会で株主の承認を得たのち、税務申告や金融機関へ融資の申請などに使われます。

プロセス②業務配分をデザインしましょう

煩雑で業務範囲が多岐にわたる経理業務をアウトソーシングすることで、得られるメリット・デメリットの確認と、どこまでアウトソーシングするのが適切か考察しましょう。

丸ごとアウトソーシングした場合のメリット

委託業者では、経理の専門知識を持ったスタッフが、スピーディかつクオリティの高い一貫性のあるノウハウで経理処理を行います。経理担当者の負担が減り、その分コア業務に専念できるので、経理業務全般の効率化が期待できるでしょう。
経理担当者の入れ替わりにより、新たな専門知識を持った人材確保と育成にかかるコストや引継ぎといった手間や時間を減らすことも可能です。
また、ブラックボックス化や属人化しやすい経理業務を、会社の中と外からの目で監視するので、不正経理の防止にも役立ちます。

丸ごとアウトソーシングした場合のデメリット

委託業者はスケジュールに沿った業務を行うため、いざというときに対応が困難になるケースがあります。また、アウトソーシングにより社内の人間が経理業務から離れるため、社内に業務のノウハウが蓄積されないというリスクも発生します。またアウトソーシングでは、オンライン上で情報共有が行われるため、情報漏洩のリスクと常に背中合わせなのも事実です。
各社セキュリティ対策を行っていますが万全ではありません。経理の専門家をおいている委託業者では、専門性が高い代わりにコストも高い可能性があるでしょう。

どこまでアウトソーシングするのが適切か?

経理アウトソーシングを選択するとメリットも多い反面、見過ごせないデメリットもたくさんあります。しかし、アウトソーシングするとしても、すべてを委託する必要はありません。一部を内製化することで、丸ごとアウトソーシングした場合のデメリットを軽減できます。
また、社内で業務の打合せをスムーズかつタイムリーに行うことができるので、さまざまな変更や修正に合わせ、スピーディに応えることが可能となります。その他にも、アウトソーシングでは社内に残らない、専門知識やノウハウを自社に蓄積することも可能です。人材育成の観点からみても、従業員同士が指導する側される側となり、社内のコミュニケーションもとりやすくなります。

プロセス③コストパフォーマンスを正しく算出する

正確なコストパフォーマンスを知ることは、アウトソーシングを委託するか内製化するかを検討するときに大変重要なポイントです。適正なコストとは何かを確認しましょう。

アウトソーシングの委託費用と内製化にした際の人件費を比較する

内製化することによって発生する人件費は、給与や賞与だけでなく、実際にはマネジメントコストやOA化するための設備や備品などの費用、オフィスの賃料なども人件費として含んで考えることが必要です。また、1人の社員が複数の業務を担う「マルチタスク」の場合、業務を抱え過ぎて効率が悪くなり、結果として時間コストが超過してしまう可能性も否定できません。
人件費という軸で費用対効果を考えるならば、こうした目に見えない経費も含めた「総人件費」として含めて比較する必要があります。
コストを計算するにあたり、内製化した際の人件費は、社員数が減らない限り固定化しますし、人材の育成費用なども発生します。それらの経費を含めて、アウトソーシングするか内製化するかの判断が必要となるでしょう。

業務委託の継続性を判断材料にいれる

委託したい業務が、どのくらいの期間続くかによっても、アウトソーシングが良いか内製化が適しているか変わってきます。継続的に決まった業務範囲を何年も委託を続けると、コストが積みあがってかかることになります。こういう場合は内製化を検討し、自社で人材を育成し安定的な業務を行う方がコストがかからず済むでしょう。
委託したい期間が短ければ、その間だけアウトソーシングすればよいので、コストも多くはかかりません。そのため、自社に与える影響は小さくなります。長期間に及ぶ業務の場合は、ノウハウの蓄積への影響や、その業務にかかわる人員や時間とアウトソーシングへの委託費用を合わせて比較判断することが必要です。

アウトソーシングと内製化のどちらを選ぶか

どちらを選択するのが良いかの判断基準は、自社が今後どのように事業を展開していきたいのか、はっきりとした目的を持つことが重要です。コア業務が疎かにならず、任せる人材のキャパシティの範囲内に収まっている時は「内製化」を選びます。
コア業務が圧迫されている中で品質を保ちながら外部のリソースを有効活用したい時や、総合的な費用対効果の観点から自社の業務を効率化させたい時は、経理の一部もしくは、丸ごとアウトソーシング化することを選択するべきでしょう。

委託先の選び方

経理のアウトソーシングを決めたら、導入後のステップを具体化し、自社の目的を達成できる提案をしてくれる委託業者を選びましょう。
アウトソーシングを成功させるため、企業側の求めるニーズ以上のクオリティに応える委託先を見つける基準を説明します。

見積もりを取る

一番の重要なポイントは「費用」です。委託先に具体的な条件を提示して、複数社から見積をとることが望ましいです。
条件をそろえていないと、委託先により費用項目や基準がバラバラとなってしまい、比較検討が難しいという結果となります。
委託先によっては、自社の現状に合わせてプラン内容を変更することにより、さらに安くスピーディに実現するという委託先もありますし、自社の仕様に合わせたオプション運用ができるという委託先もあります。
ここは、業務と費用のどちらを優先、重視するかにもよりますが、実際には両者のバランスを考慮するのが理想的です。

経理に精通した人材をおいているか?

会計の専門家である公認会計士や税理士をおいている会社は、信頼性の高い会社と言えるでしょう。また、外部委託業者では、専用システムやクラウドを利用する場合が多いので費用は高くなりますが、費用対効果も検討材料に入れておくことが大切です。さらなるコスト改善案など、積極的な提案がある委託業者は、ポテンシャルも高い企業と言えるでしょう。

信頼できる安全性

アウトソーシングで最も重視したいのが、万全なセキュリティ体制をもつ会社であることです。データの暗号化やバックアップ、情報漏洩やデータ紛失といったセキュリティ体制が整っているか確認し、損害賠償項目を含む秘密保持契約の締結を前提とした業者を選びましょう。

まとめ

経理業務をアウトソーシングする企業は年々増えてますが、しっかりとした目的と委託範囲を確認せず外部委託すると、かえって効率が悪くなり、無駄なコストがかかります。
内製化にもアウトソーシングにもそれぞれメリット・デメリットがあります。どちらがいいとはケースによって異なりますので一概に言えません。業務内容や範囲から、内製化とアウトソーシングのバランスを考えて比較検討することが望まれます。適正なコストパフォーマンスを確認して、クオリティの高いアウトソーシング先へ委託しましょう。

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