昨今の日本のビジネスシーンで模索が続く「働き方改革」の中で、最も注目されるのが「生産性向上」です。労働人口の減少も加速する中、企業にとっても一人ひとりの生産性向上を図ることが求められ、そのための人材育成は必要不可欠でしょう。
しかしながら、生産性向上を目指す人材育成は容易ではなく、具体的にどのように行っていくか悩んでいる企業は少なくありません。生産性向上に繫げるためには、従業員のスキルアップが必要で、企業側も従業員の教育のための研修や自己啓発支援など、様々な対策が大切になります。
今回は、生産性向上に繫げるための人材育成の取り組み方をはじめ、役立つおすすめのセミナーを紹介します。
生産性向上に向けた人材育成の取り組みと課題
生産性を向上するためには、効率よく業務を行うことが求められます。効率よく業務を行うことで、無駄な作業の削減や長時間労働の是正なども見直されるため、生産性を向上するための必須事項と言えます。効率のいい業務を行うためには、社員一人ひとりのスキルアップが必要になり、企業側は人材育成がカギとなってくるでしょう。
ここでは生産性を向上するために、どのような取り組みが必要か、経済産業省の調査から課題も含めて見ていきましょう。
【参考】「経済産業省_第1節 労働生産性の向上に向けた人材育成の取組と課題」
成果があった企業の取り組みとは
経済産業省の企業の意識調査によると「生産性が向上した」と回答した企業では、人材育成で成果が上がっていると答えている企業が多くありました。
成果があった企業での具体的な取り組みを見てみると、社員のスキルアップのための能力開発や、未来の事業展開に必要な人財を想定しながら能力開発を行っており、中長期的な視野で計画的、また段階的に人材育成を進めています。
具体的な成果で最も高かったのは知識・スキル習得
人材育成を行った具体的な成果として、労働者個人の理解・知識の深まりが挙げられます。従業員一人ひとりの業務に関する理解や知識が深まったことで、それ以前と比べて作業スピードが向上し「技術・技能の向上」につながったと考えられます。業務の内容をしっかり理解して取り組むことが出来れば、ミスや差し戻しを防ぐことができるからです。
また、人材育成の企業方針の浸透度を見ても、8割以上の企業が「浸透している」「ある程度浸透している」と答えていることから、人材育成を積極的に行い社員に周知することで、成果が繋がっていると言えます。
業務改善ができる従業員が増えると生産性も上がる
知識・スキルを身につけた社員が増えたことによって、それまでの業務フローの中で実は非効率だった手順や不要だった内容が見極められるようになります。その手順をなくしたほうがスムーズであるとか、変更したほうが実際の業務に即しているという判断ができるようになるからです。生産性向上に成功した企業の約30%では、こういった従業員が増え業務改善提案の機会が増えたと回答しています。
人材育成における課題とは?
厚生労働省の「平成29年度能力開発基本調査」によると、仕事や家事などで忙しく自己啓発の時間がない、自己啓発の費用が高いと答えている労働者が8割いることがわかりました。
企業において、自己啓発費用の補助などを行っている企業は多くありますが、時間に関する支援を行っている企業は少なく、人材育成に成果を感じている企業でも2割程度と低くなっています。
また、人材育成を行うには社員教育ができる人材が必要になります。労働人口の減少や離職などにより、スキルを備えた人材を確保することが厳しいのが現状です。
生産性向上って何から始めたらいいの?
生産性を向上させるといっても、具体的にどのように進めるか悩む企業も少なくありません。生産性向上を実現するには、業務の見直しだけでなく、人財育成も大切になってきます。
では具体的にどのようなことから始めたらいいか、見ていきましょう。
業務を可視化する
まずは、社員の業務を可視化することから始めましょう。
業務を可視化することで、業務の無駄が省け、仕事の優先度が明確になります。また業務の可視化は、個人で抱えている仕事をチーム全体で知る機会にもなり、チーム全体の業務改革を行うことができるでしょう。
労働時間を可視化する
生産性を向上するためには、長時間労働の削減がポイントになります。
労働時間を可視化することで、業務時間内での目標時間が明らかになるだけでなく、仕事の漏れなども防ぐことが可能です。
無理のない範囲で、業務を意識した目標時間を設定することは生産性の向上に繋がります。
個々のスキルアップ
生産性を向上させるためには、社員一人ひとりが効率的に業務を行えるよう、スキルアップすることが大切です。
システムに必要なITスキル、コミュニケーションスキル、専門業務スキル、セルフマネジメントスキルなど、業務に必要なスキルは多くあります。
企業側は研修制度を設けたり、資格に対する支援など、自己啓発だけでなくスキルアップの教育の場を設けることで、より生産性向上が目指せるでしょう。
業務を自動化する
手作業で行っている作業を、システムやツールなどを使用し自動化することで効率が上がります。システム開発の規模によっては時間や費用を要しますが、簡単なものであれば自社でツールを作成したり、無料のツールを使用することでも作業効率は大きく変わるでしょう。
また、実際の業務に関するものだけでなく、労務管理やプロジェクトでも有効な手段です。
働き方改革のカギは人材育成にあり
人材育成は直近の売り上げに結び付くことが見えにくいため、緊急性がなく後回しになりがちな経営課題です。しかし、中長期的に人材育成に取り組むことで社員が育ち、売上・利益が拡大するという好サイクルに持ち込むことができます。その循環を生むためにも、人材育成を軽視してはいけません。
社員が育っている企業の実態とは
社員が育っている企業の特徴として共通点が多いのは、以下の4つになります。
・経営者が人材育成に力を入れている
・人材が育つ仕組みを作っている
・長期的にみた経営戦略で必要な人材を具体化している
・業務を改善する教育体制がと整っている
社員が育っている企業の学びは、自分の経験70%、他人からの学び20%、研修で10%という割合でワークプレイスラーニングという考え方があります。しかし最も重要なのは、日常業務の中で経験していくことです。それとともに、企業側は社員の教育の場を設け、将来的に有望になる人材育成を進めなければなりません。企業と社員が一体となって、仲間と協働して業務改善に取り組むことが人材育成の肝になってきます。
チーム力をアップさせて人材育成を進めよう
人を育てる仕組みには、制度づくり、人づくり、チームづくりの3つが大切です。チームづくりをしっかりしチーム力を向上させることで、チームの中で学べる環境が整います。チーム力を向上させるには「話し合い」が重要で、経営理念を業務に浸透させたり、日常業務の進め方についてアイディアを出すなど、色々なテーマを取り入れることが可能です。そしてチームで定期的に話し合いを行うことで、日常業務が学びの場として活用され人材育成につながるでしょう。
生産性向上のためのワーク・ライフ・バランス
働き方改革の中で、よく耳にするキーワードに「ワーク・ライフ・バランス」があります。一言で「生活と仕事の調和・調整」ですが、生活と仕事はそれぞれ相反するものではないため、「生活と仕事の相乗効果が生まれる、バランスの取れた状態」という解釈が適切です。生産性向上とこのワーク・ライフ・バランスの関係について見ていきます。
出産・育児対応が日本のワーク・ライフ・バランスの始まり
1990年代から日本政府による少子化対策として、育児休業制度の整備や保育所の拡充が進められています。それでも少子化の流れは止まらず、2003年に少子化対策基本法や次世代育成支援対策推進法が成立しました。これらの法律によって、企業は出産・育児と仕事の両立を支援するための行動をとることが義務付けられています。また、高齢化が進むにつれ介護時代も到来し、それまで女性だけがクローズアップされがちだった働き方の問題が、男性にも及ぶものへと変化したのです。
ワーク・ライフ・バランスは「柔軟に選択できること」
ワーク・ライフ・バランスで必要なことは、「仕事と生活の最適なバランスを柔軟に選択できること」です。各個人が仕事にやりがいを感じながら、家庭やプライベートの時間を充実させ多様な働き方が可能になります。そして空いた時間に業務に必要なスキルを身につけることで、より短時間に効率的に進められるようになり、仕事において希望していた成果を得ることができるでしょう。従業員一人ひとりの、ライフステージに応じた生活と仕事のバランスを取ることで得られる相乗効果・好循環は、生き生きとした職場環境を生み出し、生産性向上に繋がります。
ワーク・ライフ・バランスがもたらす効果とは
ワーク・ライフ・バランスの効果として、女性社員の定着を図ることができます。育児や子育てのためにやむなく離職せざるを得ない人が多い中、適切な支援を行い柔軟な働き方を提案することで、継続して働くことが可能になるでしょうまた、スキルを持った優秀な人材が集まってくることも期待でき、長く活躍できるようになります。そして職場環境が増えることで、従業員のモチベーションアップ効果も期待できます。モチベーションが上がれば、人材育成や職場内のコミュニケーションが活性化し、ひいては生産性の向上に繋がります。
ワーク・ライフ・バランスは業績向上に繋がるのか
働き方改革によって認知されてきたワーク・ライフ・バランスですが、業務が忙しくそれどころではないという声も聞かれます。しかし、ワーク・ライフ・バランスの推進は中長期的・持続的発展につながる「未来への投資」であって、好不況に関わらず着実に進めていくべきものです。
メリハリのある働き方の実現が生産性を向上させる
ワーク・ライフ・バランスは、仕事とプライベートの両方を充実させることです。そのためには、仕事が怠らないよう業務を効率化し、仕事とプライベートの切り替えがしやすくなり、ワーク・ライフ・バランスが取れていくことでしょう。そうすることで仕事の付加価値を高め、自己啓発やリフレッシュして得た経験や知識を仕事に還元することができます。また、活気に満ちてイノベーションの起こりやすい組織風土を作り出すことすことで、業務向上にに繋がっていくでしょう。
企業の業績向上に従業員のモチベーション向上は必要
ワーク・ライフ・バランスが取れると、従業員の仕事に対するモチベーションも上がります。企業が多様な働き方の選択肢を提示し、従業員一人ひとりが自分の人生設計に照らして働き方を考えるようになります。自らの責任でその選択肢に沿った働き方を実践することで企業の業績向上にも責任感を持ち、結果として業績向上に繋がるでしょう。
生産性向上に関する課題やニーズに対応したセミナー
自社独自で教育プログラムやセミナーを開くには、なかなか難しい企業も少なくないでしょう。現在は外部で生産性向上に関する研修の場が増え、今抱えている課題を解決してくれるセミナーを通して生産性向上に関する仕組みを活用するのも一つの手です。専門知識やノウハウを取り入れる第一歩として活用してみましょう。
Mamasan&Company株式会社
Mamasan&Company株式会社では、業務効率化・生産性向上をかなえるテレワーク導入セミナーを開催しています。
セミナーはインターネット回線を使ったWebセミナーで開催しており、国内外の場所を問わず参加することできます。テレワークを導入することによる業務効率化だけでなく、生産性を向上するノウハウが無料で聞けるのが特徴です。
株式会社インソース
公開研修、派遣型研修をはじめとして、生産性向上に役立つ様々なテーマのセミナーを行っています。セミナーによって階級別の研修で求められるスキルの底上げを図ることができ、自社に合ったオーダーメイドの研修を開催依頼することも可能です。オンライン講座もあり、ニーズに適したセミナーが受講できるでしょう。
リクルートマネジメントスクール
階層やテーマ、ビジネススキルなど、生産性向上に関するセミナーだけでなく、従業員のスキルアップもできるセミナーが多数あります。
中でも、生産性向上に関するセミナーは、付加価値を生み出す内容やマネジメント方法など様々な内容に分かれているので、自社に適したセミナーを選択することができるでしょう。
まとめ
生産性を向上させていくためには、従業員のスキルアップと業務の効率化が必要です。そのために企業ができることは、人材育成の大切さを従業員に浸透させ、教育の場である研修や支援など、考えられる対策を行うことが大切になります。
また、企業の未来を見据え、どのような人材育成が望ましいかを考えることで、将来的に有望な人材を育てることができるでしょう。自社に合った、いきいきと働ける職場環境の整備、メリハリある働き方の選択肢を導入することは企業の財産でもあります。
専門知識を持った講師による従業員教育、研修、サポートをうまく活用して、社内の生産性向上を成功させましょう。
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