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災害時のBCP対策でテレワーク導入!その効果を事例とともに考える

2020年7月29日 10:00 カテゴリー : BPO Times

日本では、地震や台風による自然災害に、2020年感染拡大を続ける新型コロナウイルスによる世界的な混乱を目の当たりにするなど、このような震災や感染症の危機管理対策としてBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)が注目されています。BCPは策定したが、災害の際にうまく機能させることができなかったなど、対策方法を持っているだけではなかなか上手くいきません。

また、BCP対策の一環としてテレワークを導入している企業も増加傾向にある反面、課題も多く足踏みしている企業も少なくないでしょう。今回は、今求められるBCPについて、効果のあるBCP対策の事例とテレワーク運営のポイントを紹介します。

情勢により求められるBCP対策としてのテレワーク導入

現在日本では、東日本大震災を始め新型コロナウイルス感染拡大により、BCP対策が更に注目されています。地震や災害、疫病の流行によるパニックなどは予期せず突然起こるものです。日本は今後も、大規模な災害による被害が懸念され、そのような緊急事態を想定しリスクマネジメントの一環にテレワーク導入を事前に行うことで、被害を最小限に収めることができるのです。

自然災害のリスク分散

テレワークの導入は、自然災害やテロなどのリスクを回避することができます。災害が発生した場合、出勤せずに自宅や安全な場所で仕事ができるため、状況によっては災害発生に影響を受けることなく業務を遂行することが可能です。また、それぞれの居住地などにより被害の程度や影響が異なるため、リスクを分散することにも繋がるでしょう。

疫病などの感染拡大防止

新型コロナウイルスのような、感染症のリスク回避にもテレワークは効果的です。

万が一、社内で感染症が発生しても、影響を与えることなく業務の継続が可能であり、さらに従業員間で感染が広がるリスクを抑えることができます。

テレワークによって業務に与える影響を最小限に抑え、感染症のリスクを軽減することを目的として、BCPに感染症対策を定めている企業も増えているでしょう。

BCP対策のテレワーク導入で目的以上の効果!

2020年5月に帝国データバンクは既にBCP策定している企業の見解を調査した結果、「従業員のリスクに対する意識が向上した(57.4%)」が最も多く、「事業の優先順位が明確になった(37.7%)」「業務の定型化・マニュアル化が進んだ(35.5%)」と続きました。また、株主からの信頼獲得や国からの補助金の加点材料に繋がったという結果が報告されています。このような調査結果を見ても、BCP対策することでさまざまな部分で成果がみられました。また、BCP対策としてテレワーク導入した結果、目的以上の効果があった事例もあるでしょう。

労働時間を減らして生産性や業績向上

テレワークは会社への出勤が無いため、ZoomやSkypeで会議を実施します。特に上司と部下がマンツーマンで円滑なコミュニケーションを深めることができるので、業績の向上も期待できるでしょう。テレワークによって通勤や勤務の時間が減り、1人あたりの年間総労働時間が削減されることで、有給取得や男性育児休業取得などが取りやすくなり、結果生産性の向上に繋がります。

フルタイムで働ける従業員が増えた

情報漏えいはテレワークで懸念されるリスクの1つですが、情報のセキュリティレベルを分けることでリスク回避が可能になり、以前よりもテレワークが導入しやすくなりました。また、個人情報を扱う業務従事者も、在宅勤務ができるようになります。自宅に常設するパソコンなどを貸し出す企業も増えたことで、育児や介護中の従業員の突発的な欠勤を防止することできるためフレキシブルに働け、結果フルタイムで働くことができる従業員が増加しました。

リスク回避ため季節や状況に応じて仕事場所を切り替え

テレワークを導入することで、移動中はもちろん、自宅だけに限らずサテライトオフィスや田舎の実家、強いていえばリゾート地でも仕事ができます。リスクを避ける環境を選びながら仕事をすることが可能になれば、企業側も従業員側も限られた地域を選ぶ必要がありません。さまざまな地域に住む人との新たな人間関係を構築できれば、双方にとってメリットを得ることができるでしょう。

【参考】「事業の継続改革(BCP)に対する企業の意識調査」

テレワーク化に適した業務とその理由

テレワークは、さまざまな職種や業種に導入されています。しかし、サービス業や医療、介護、保育など人と接する業務では完全にテレワークへ移行することは難しいといえます。テレワークには向いている業務と、反対にテレワーク化が難しい業務がありますが、ここではテレワークに適した業務について見てみましょう。

入力作業や経理業務などのバックオフィス

ExcelやWord、システムツールなどを使用し行うデータ入力作業や経費清算といった経理業務などは、必要なデータがあればどこにいても仕事ができるため、バックオフィス系の業務はテレワーク化に適した業務といえます。契約書、請求書などをパワーポイントやシステムを用いて作成するのも同様です。データ入力業務としてテレワークを募集する企業も多いですが、オフィス勤務とは違い電話の応対もありませんので業務に集中することができます。

カスタマーサポートやコールセンター

カスタマーサポートやコールセンターのテレワークは、企業・労働者双方にメリットがあり、労働者が拠点から離れたところに住む場合や、介護・育児が必要な場合でも勤務が可能です。BCP対策としてのテレワーク化に適した業務ですが、コスト削減や人材活用の観点からみてもとても合理的で、新型コロナウイルス感染拡大でもその重要性はさらに増したといえます。

クリエイティブな職種や作業

IT業界は、業務の性質上多くのプロセスが電子化され、プログラマやデザイナーは最も在宅勤務と親和性の高い業界であるといえます。

また、ライター業も以前からテレワーク化に適した仕事でした。紙媒体が主流の時代から、現在では多くがWeb媒体となっています。現在でも変わらずテレワークに適した仕事だといえるでしょう。

優先して進めるべきテレワーク導入のメリットとは?

テレワーク導入は、BCP対策では不可欠な形態であるのはもちろんのこと、平常時から従業員が自宅や外出先、出張先などの社外にいても作業が可能です。働く環境を整備することで、仕事の効率化や生産性の向上だけでなく、フルタイムでは雇用が難しい状況の人材を労働力として活用できるため、優先して進めるべき対策といえます。

BCPの一環として非常事態時の事業継続と早期復旧に

自然災害やパンデミック、その他の非常事態においても、テレワークを導入していれば事業継続と早期復旧が可能になります。特に日本は災害大国なので、BCPの一環として早くからテレワーク環境の準備に取り組むことで、いざというときの対応がスムーズに進むでしょう。

通勤費やオフィス維持費の削減や資料のデジタル化

テレワークで在宅勤務になると、従業員は会社に通う必要がなくなるため通勤のための交通費が発生しなくなると同時に、会社の光熱費など経費も抑えられるため、費用削減効果が期待できます。また、今まで紙をベースとしていた資料のデジタル化も必然となり、これまでのアナログ業務のプロセスを変更することで、業務改善をするきっかけとなるでしょう。

優秀な人材の雇用と従業員定着率の向上

今日、多様な働き方を求める人は非常に多く、そういう人たちにはテレワークを導入している企業は魅力的な職場に映るといえます。子育てや介護といった事情を抱えている人はワークライフバランスを重視してるため、優秀な人材であってもテレワークを導入していない企業では働くことができません。優秀な人材の確保や雇用を継続するためにも、テレワーク導入は不可欠です。また、既存の従業員の定着率が向上することで採用コストの削減にもつながり、企業と従業員双方の心理的負担の軽減にもなります。

テレワーク導入と継続の課題

企業のBCP対策確保で、社会問題の解決手段としてのテレワークの導入が広がっていますが、同時に多くの課題もあります。仕事の性質上テレワークが困難な業務や、セキュリティ対策が上手く進まないため出勤せざる追えない人がいるのも事実です。

すでに在宅勤務を実践してきた人も、長期化することで新たな課題も出てきてるようですが、特に問題とされている課題を紹介しましょう。

従業員に課せられる自己管理能力

テレワークでは、従業員の自己管理能力が問われる環境となります。最も注意するべきことは運動不足です。通勤や営業などで外出する機会が減るため、運動不足で健康状態に支障をきたす可能性もあります。また、自身でスケジュール管理が必要となるので、時間管理が苦手という人にとっては難しいといえるでしょう。

マネジメントが困難

目標設定、組織化、コミュニケーション、評価測定、問題解決に対するスキルは、上司の管理できる範囲内において有効なマネジメント能力です。テレワークで新しい働き方が導入されると、マネジメントが難しくなってきます。マネジメントのスキルは、組織内で発揮されることが多く、テレワークのように「上司の目に見えない場所」で仕事をしている場合は、組織としての体感を持たせるには高いスキルを要するでしょう。

セキュリティ問題

テレワーク導入で懸念されるのが、セキュリティの問題です。パソコンを会社から貸与することで、プライベート端末での業務を許可せず、機密データが残らないようにしているケースが多い反面、その場合には多大なコストが必要となります。一方、自宅で利用しているパソコンにVPNシステムや、仮想シンクライアント環境を構築するなど、比較的低コストで導入可能な方法を取る企業も増えてますが、その場合、利用者側に十分なセキュリティ対策が必要です。

企業と従業員の不安を解消!失敗しないテレワーク

従来の働き方を大きく変えるテレワークの運用は事例もそれほど多くないため、導入する際に不安がつきまといます。事前にしっかりとした規定を決めることは、企業と従業員双方の不安を解消するために重要です。失敗しないためにはどのようなルールが必要か、具体的に紹介しましょう。

労働時間の管理方法

従業員の勤怠状況を適切に管理するだけでなく、上司がどのように管理するべきか迷わないためにも重要なことです。業務内容や勤務形態にあわせて、複数の方法を組み合わせるとよいでしょう。仕事の始まりと終わりにメールやアプリを使って連絡するなど、勤務時間の管理が必要です。また、勤務時間と仕事量が必ずしも一致しない場合に、プロジェクトやスケジュールの管理ツールなどを活用し進捗状況を管理しましょう。

評価方法の工夫

テレワークの社内ルールは、業務プロセスや評価方法を工夫しないと導入しても失敗する可能性が高くなります。企業側と従業員側双方のメリットが必要であり、同じ仕事内容でも出社している従業員と差が生じたり、上司によって評価が統一でないと不公平になる可能性もあるでしょう。このような事態を防ぐためにも、あらかじめ明文化しルールを設けておく必要があります。また、ルールは頻繁に見直すケースが多く、一度策定したルールはバージョン管理し情報共有ツールなどで保管しておくことが大切です。

業務にかかる費用負担

テレワークは自宅などのオフィス以外の場所で働くため、そこで発生するコストの負担に関する規定を決めておく必要があります。具体的には通信費や電気代、電話代、書類をプリントアウトする際のインク代、用紙などの事務用品が経費となりますが、業務によって該当する項目が違ってきます。事前にしっかりとルールを決めることでトラブルを防ぐことに繋がりるでしょう。

まとめ

BCPは対策方法を持っているだけでは、いざというときに機能しません。災害やパンデミックはある日突然やってくるため、そうした際に対応するには日ごろから取り組んでいなければ効果を発揮することができないでしょう。BCPにテレワークを活用するためには、普段からテレワークを利用した業務遂行が必要です。

BCPのためだけのテレワークはうまくいかず、BCPを目的にするだけでは宝の持ち腐れとなってしまいます。テレワークで実現させる目的と目標をしっかりと定めることはとても大切であり、実際に試みて好ましい結果が得られなかったとてしても、諦めずに改善を重ねることで、テレワークのメリットを引き出すとができるでしょう。

テレワークのメリットを理解し、BCP対策としてのテレワーク化を検討してみるのが得策です。