業務の効率化や改善をスムーズに進めるためには、業務プロセスの可視化がかかせません。そして、これから紹介する業務プロセス可視化ツールは、この可視化の工程をより直感的な操作で描くことができる便利なツールです。業務の流れを視覚的に表現することで問題点や改善点を明確にし、効率的な対応策を講じることができます。しかし、業務プロセス可視化ツールの選定においては、機能面や操作性、導入コストなど、いくつかの重要なポイントを考慮する必要があります。また、自社の業務ニーズにどれだけ適合しているかを評価することも非常に重要です。
ツールの特徴をおさえ、自社に最適な業務プロセス可視化ツールの選び方をおさえていきましょう。
業務プロセス可視化ツールとは?
業務プロセス可視化ツールは、企業や組織の業務フローを視覚的に表現するためのソフトウェアです。ツールによる手法や技法、また導入のメリットを見ていきましょう。
業務プロセス可視化ツールとは
業務の流れや手順を視覚的に整理し、全体像の把握や問題点の特定を容易にするツールです。具体的には、フローチャート作成ソフト、ビジネスプロセスモデリング(BPMN)ツールなどがあり、これらは製造業やIT業界をはじめとしたさまざまな業界で利用されています。
これらのツールは、業務改善の手法として、20世紀初頭の科学的管理法から発展してきました。ビジネスのデジタル化が進む現在は、データを使い、より良い判断ができるようにサポートする役割が期待されます。プロセスの最適化や自動化の基盤となり、企業の競争力強化に貢献しています。
ツールによる手法について
代表的な手法としては、フローチャートやガントチャート、ビジネスプロセスモデリング記法(BPMN)が挙げられます。フローチャートは業務の流れを矢印やシンボルで表現し、手順や分岐の視覚化が可能です。ガントチャートはプロジェクト管理で用いられ、作業工程とその進行状況を時系列で示すことができます。BPMNは、ビジネスプロセス全体を標準化された記号で詳細にモデリングできる技法です。これらの技術は、複雑な業務をシンプルに表現し、分析や改善を促進するために用いられます。
想定される活用場面
業務プロセス可視化ツールの活用は、多様な分野やシーンで役立ちます。それぞれのケースをメリットと併せて確認していきましょう。
◯業務改善と効率化
製造業やサービス業で、作業時間短縮やリソース最適化を図る場面等。
→業務フローを可視化し、ボトルネックや無駄なプロセスを特定して改善が期待できる。
◯新しい業務プロセスの導入
ITシステム導入やオペレーション変更時等。
→新しいシステムやワークフローの導入前にプロセス全体を可視化し、関係者が理解しやすくする。
◯プロジェクト管理
プロジェクトマネージャーがタスクの依存関係を把握し、リソース配分を最適化する際等。
→複雑なプロジェクトの進捗を追跡し、各ステップの関係性や進行状況を把握できるようになる。
◯トレーニング・教育
新入社員や新しい業務担当者向け
→業務プロセスを視覚的に示し、迅速な習得を支援。マニュアルや教育資料として活用される。
◯コンプライアンスとリスク管理
金融機関や医療機関などでの利用
→法令遵守やリスク管理のために、業務プロセスを可視化し、どのステップがリスクを伴うか、どの手順が法的要件を満たすかを明確にできる。
利用するメリット
業務プロセス可視化ツールを利用することで、手作業によるデータ整理や分析が不要となり、業務フローを迅速かつ正確に把握できます。リアルタイムでデータを視覚化することで、変化や問題を即座に捉え、改善策を素早く導入できるのも利点です。また、チーム間での共通理解が深まり、コミュニケーションがスムーズになる効果も期待できます。さらに、自動化されたレポートや分析機能により、経営者やチームリーダーが信頼性の高い情報をもとに迅速に意思決定できるため、業務全体の生産性向上にもつながります。
ツールを選ぶ際のポイント
業務可視化ツールは、チームの目的や業務内容に合ったものを選ぶことで、効率的かつ効果的に活用できます。ツールを選ぶ際のポイントを確認しておきましょう。
ユーザーフレンドリーさ
ユーザーフレンドリーなツールを使うことは、業務プロセスの可視化において効果的です。直感的に操作できるツールは、誰でも簡単に使いこなせるため、導入時の負担を大幅に軽減します。また、習熟容易なツールの利用で、プロセスの改善や分析に集中できる環境が確保され、結果として効率化を促進します。使いやすく、チーム全体が快適に活用できるツールを選んで、業務の最適化を図りましょう。
カスタマイズ性や柔軟性
一度定めた業務プロセスでも、企業の成長や市場の変化に合わせプロセスを変える必要があります。そのため、プロセスの追加や修正を容易に行える機能も重要です。また、業界やチームごとの独自の要件に合わせて、ワークフローやレポートをカスタマイズできる柔軟な設定も必要です。定期的に業務プロセスを見直し、業務やプロセスを継続的に改善することで、資源の最適化や無駄の削減を図ることが可能となります。
データのセキュリティやプライバシー保護の観点
業務データは機密情報を含むことが多いため、ツールがどのようにデータを保護しているかを確認する必要があります。例えば、暗号化や多要素認証が実装されているか、データのバックアップが適切に行われているかを確認します。また、アクセス権限を細かく設定できる管理機能が備わっているかも重要で、これにより特定のユーザーだけがデータにアクセスできるようにすることが可能です。
価格設定やサポート体制
ツールが提供する機能とコストのバランスが取れているかを確認し、初期費用や月額料金、追加機能にかかる費用を比較検討することが必要です。また、ツールの導入や運用時に問題が発生した場合、迅速にサポートを受けられる体制が整っているかも選択時のポイントとなるでしょう。問い合わせ対応のスピードや質、オンラインマニュアルやトレーニングの有無も考慮して選ぶと安心です。
無料から使える可視化ツール
最初は無料プランやトライアルを活用し、チームで実際に使用してみることで、自社に合ったツールかどうかを見極めるのが良いでしょう。無料から利用できる代表的な業務プロセス可視化ツールを5つ紹介します。
Lucidchart
概要: 直感的な操作が特徴のオンラインダイアグラム作成ツール。フローチャートやマインドマップなど、さまざまな可視化に対応しています。
無料プラン: 基本機能を使用でき、3つまでのドキュメントを作成可能。
有料版: より高度な機能や無制限のドキュメント作成が可能。
https://www.lucidchart.com/pages/ja
Draw.io (diagrams.net)
概要: 完全無料のオンラインダイアグラム作成ツール。シンプルな操作性と豊富なテンプレートで、業務プロセスを簡単に可視化できます。
無料プラン: すべての機能が無料で利用可能。
有料版: なし。完全無料。
https://www.drawio.com/
Bizagi Modeler
概要: BPMN(業務プロセスモデリング)に特化したツールで、業務プロセスの効率的なモデリングが可能。
無料プラン: モデリング機能はすべて無料で利用可能。
有料版: コラボレーションやクラウド機能が追加されます。
https://www.bizagi.com/en/platform/modeler
Cacoo
概要: 共同編集が可能なオンラインダイアグラム作成ツール。フローチャートやネットワーク図などの作成が簡単に行えます。
無料プラン: ドキュメントの制限付きで利用可能。
有料版: チーム向けの機能が追加されます。
https://cacoo.com/ja/home
Miro
概要: コラボレーション機能を備えたオンラインホワイトボードツール。業務プロセスやアイデアを視覚的に整理できます。
無料プラン: 3つのボードが作成可能。
有料版: より多くのボードや高度な機能が利用可能。
https://miro.com/ja/
これらのツールは無料で基本的な可視化機能を提供しており、必要に応じて有料版へのアップグレードが可能です。業務規模やニーズに応じて選択できます。
有料の可視化ツール
有料ツールは、無料ツールよりも強力な機能を提供し、大規模なプロジェクトや企業のニーズに適しています。業務プロセスの高度な可視化やチームのコラボレーション、プロセス改善のためには、これらのツールを選択すると良いでしょう。
ARIS
概要: 業務プロセス管理(BPM)に特化した強力なツール。企業の全体的なプロセスを詳細に可視化し、改善を促進します。
主な機能: 企業全体のプロセスモデリング、リスク管理、パフォーマンスモニタリング。
料金: プランにより変動、要見積もり。
https://www.softwareag.com/ja_jp/platform/aris.html
Microsoft Visio
概要: 業界標準の可視化ツールで、フローチャート、組織図、プロセスマップなど幅広い用途に対応。
主な機能: Microsoft 365との統合、テンプレートの豊富さ、リアルタイムコラボレーション機能。
料金: サブスクリプション型(月額¥1,400〜)、または買い切りライセンスあり。
https://www.microsoft.com/ja-jp/microsoft-365/visio/flowchart-software
IBM Blueworks Live
概要: クラウドベースの業務プロセスモデリングツールで、プロセスの可視化と分析に優れた機能を持つ。
主な機能: リアルタイムコラボレーション、プロセスの自動化支援、変更履歴の管理。
料金: ユーザーごとに月額$53から。
https://www.ibm.com/jp-ja/products/blueworkslive
Signavio Process Manager
概要: プロセスモデリングとビジネス分析に特化したツールで、大規模な企業に適しています。プロセス改善とガバナンスを支援。
主な機能: リアルタイムでのコラボレーション、プロセスシミュレーション、プロセスガバナンス。
料金: 要見積もり。
https://www.signavio.com/jp/products/process-manager/
Gliffy
概要: シンプルで直感的なダイアグラム作成ツール。プロセスフローやネットワーク図などが簡単に作成でき、特にチーム向け機能が充実。
主な機能: チームでのリアルタイム編集、ConfluenceやJiraとの統合。
料金: 月額$8/ユーザーから、チームプランは月額$6/ユーザー。
https://www.ricksoft.jp/atlassian/gliffy/
フォローアップ体制について
効果的なフォローアップ体制を整えることで、業務可視化ツールは単なる「業務ツール」以上の存在となり、チームの業務効率やパフォーマンス向上に貢献できます。
トレーニングを行う
ツールを導入した直後は、チーム全体を対象としたトレーニングが必要です。ツールの基本操作や活用方法、目標を共有し、スムーズな導入をサポートします。中長期的には、ツールの使用頻度や業務内容に応じて、定期的に再トレーニングやスキルアップのセッションも必要となります。これにより、チームが新機能や応用方法を理解し、効率的に使いこなせるようになります。
サポート体制の充実
これらを率先的に進めるために、社内にサポートチームを設けメンバーからの質問やトラブルに対応できる体制を整えましょう。サポートチームは、定期的にツールの使用状況を確認し、活用度合いや利用頻度を把握します。時間の経過とともにツールの導入目的や目標を再確認し、組織全体で意識を合わせることも重要です。
ツール提供会社のサポートを利用する方法もあります。ツールによっては、チャットサポートや電話サポートを提供している場合があります。導入企業向けにトレーニング動画やFAQを提供することもあるため、これらも活用すると良いでしょう。
プロに相談しましょう
業務プロセスの可視化は、効率化に欠かせない重要なステップです。しかし、さまざまなツールがある中で、どれが自社に最適かの判断は難しく、導入後のフォローアップも容易ではありません。
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ツール選定に迷う必要はありません。私たちと一緒に、業務の効率化を加速させていきましょう。
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