電子帳簿保存法が施行されて実に20年以上が経過したものの、日本全国で見る電子化は遅々として進んではいませんでした。しかし、近年の新型コロナウイルス流行を受けオンラインで完結できる経費精算システムが改めて注目されています。さらに、2022年には大幅に規制が緩和されるため、電子帳簿保存の導入がより身近なものになるでしょう。
入力の自動化やスキャナ保存、各種ICカードやクレジットカードとの連携、検索性の向上などシステムを導入するメリットは大きく、業務の効率化や生産性向上という観点からも今後の企業経営に欠かせないものとなります。
今回は、大幅な生産性の向上とコスト削減効果が期待できるおすすめ経費精算システム5選と企業の帳簿書類を電子的な媒体に保存することを認める「電子帳簿保存法」について解説していきましょう。
電子帳簿保存法とは
1998年7月に制定された電子帳簿保存法は、国税関係帳簿書類の全てまたは一部について電子データによる保存を認めた法律です。2005年3月にはその一部が改正され、紙媒体の書類をスキャンした電子データも認められるようになりました。電子帳簿保存法の要件を満たしたシステムを取り入れることで、書類を保管・管理する手間やコストを大幅に削減することができます。
電子データで保存する際の手続き
帳簿を電子データで保存する場合、「国税関係帳簿の電磁的記録による保存等の承認申請書」を、電子帳簿に切り替える年度が始まる3ヶ月前までに所轄の税務署に提出する必要があります。事業年度の途中からの切り替えができないため、計画的に申請を行いましょう。
※こちらは2022年1月に施行される規制緩和で事前の申請は不要になります。
対象となる帳簿・書類
電子帳簿保存法で対象となる国税関係書類は、帳簿・決算書・証憑類の3つに分けられます。要件を満たした精算システムを利用した電子データの保存は認められていますが、紙媒体書類をスキャナ保存したものは基本認められていません。具体的な例をあげると会計システムなどから作成された仕訳帳・総勘定元帳等の帳簿書類や棚卸表・貸借対照表・損益計算書等の決算書類などがあげられます。また税務上、電子データについても帳簿書類と同様に7年間の保存が必要です。
システムに求められる要件
電子帳簿保存法においてシステムには必ず「タイムスタンプ」機能が求められます。これは、簡単に改ざんできると思われがちな電子データに信頼性を与えるための重要な機能です。最も2022年には書類のスキャナ保存制度が緩和されますので、画像データの編集履歴が残るシステムを利用している場合は、タイムスタンプ機能は不要になります。また一部の領収書の保管が免除されたりと様々な規制緩和も併せて行われるため、より多くの企業が電子保存を選択するようになるでしょう。
クラウド型経費精算システム導入のメリット
電子帳簿保存法に対応する場合、クラウド型経費精算サービスの活用がポイントになります。電子帳簿保存法に対応できる経費精算システムを導入することで、データの一元管理や経費精算手続きの負担を軽減することが可能になるでしょう。
データの一元管理が可能
すべての経費データをクラウド上で一元管理ができるため、システムにアクセスできるアカウントを持っていれば、場所やアクセスする端末を問わずに業務を行うことが可能です。精算業務関連のデータが一つにまとめられることで管理の手間も大幅に削減でき、データの検索も容易になります。
申請者の入力作業や承認作業の手間削減
経費精算システムはインターネットに繋がってさえいれば、どのモバイル端末からでも時間や場所を問わずに、申請業務をオンラインで全て完結させることができます。面倒だった領収書の添付もスマホで撮影した写真をアップロードするだけで大丈夫です。外出先でも立替が発生したらすぐに申請が行えるため、よりスムーズな経費精算ができるようになるでしょう。
経理担当者の負担軽減
経費精算業務は、申請書の確認や記帳、申請書の不備による差し戻し対応や社員への支払いの準備、申請書や領収書の管理など様々な業務が伴います。経費精算システムを利用することで、今まで手入力で行ってきた会計システムへの転記を、データ出力して会計ソフトに連携させることが可能です。さらに、交通系のICカードや法人カードの利用履歴を取込むこともできるため、入力の手間を大幅に削減し、ミスを減らすことができます。
人的ミスや不正な申請の防止
紙ベースによる経費精算は複雑な処理になりがちなため、申請ミスや承認ミスなどが起こります。しかし、経費精算システムであれば、自動計算や申請内容ごとの承認フローなどを設定することで、申請から完了までが手軽で確実な作業になります。さらに交通費申請は交通系サービスと連携したシステムを利用することで、移動距離や運賃など、確実に申請を行うことが可能となるでしょう。
クラウド型経費精算システム導入のポイントと注意点
クラウド型の経費精算システムを導入するにあたり、システムを選ぶ際に確認すべきポイントを押さえておきましょう。
導入目的の明確化
経費精算システムとには、数多くのサービスとさまざまな機能があります。そのため、経費精算システムの導入目的を明確にし、自社に合うシステムを選択することが重要です。自社の課題を洗い出し、目的に合わせて検討しましょう。
必要な機能が揃っているかを確認
自社にとって必要な機能や要件を満たしているかをチェックし選定しましょう。
例えば、交通系ICカードやクレジットカードを使用することが多い場合、連携させることが可能なシステム導入することで、経費精算の効率化が可能になります。
セキュリティ体制の確認
クラウド型の経費精算システムを利用する場合、クラウド上で情報のやり取りを行います。そのため、提供しているサービスの管理体制、セキュリティ対策に加え、トラブルや質問に対するサポート体制を確認し情報漏えいなどに備えることも大切なポイントです。
無料で試せる体験版も活用
実際に導入検討をする際には、資料や見積を請求したり、システムの使い勝手を試せる体験版を活用することもおススメです。システムによって使い勝手が異なりますので、いくつか実際に試して自社の要件に合ったものを選びましょう。
おすすめ経費精算システム5選
ここでは数多くある経費精算システムの中でも、電子帳簿保存法の要件を満たす、クラウド型経費精算システムのおすすめ5選を紹介します。
楽楽精算
楽楽精算は国内9000社に導入され、100万人が利用している国内導入数No.1の経費精算システムです。
交通費や旅費・出張費・交際費など、さまざまな経費精算を一元管理することができます。さらに、自動仕訳・会計ソフトとの連携や振込データ作成機能を活用することで、経費データを正確かつ迅速に把握できるため経理業務を効率化するだけではなく、会社全体の生産性向上が見込めるでしょう。セキュリティ面でもデータセンターの監視に加え、災害時などの緊急事態に備えたバックアップ体制が完備されています。また、専任の担当者がつく安心のサポート体制です。
料金プランはユーザー数に応じて変動するプランを採用しているため、シンプルでランニングコストを抑えたシステムを探している企業におすすめな経費精算システムです。
料金プラン
経理清算システムとして必要な基本機能を持ちながらもリーズナブルに抑えられた月額料金と、要件に応じて機能を拡張できるオプションの豊富さが特徴です。
初期費用100,000円から、月額費用は30,000円(利用ユーザー数によって変動)からとなっています。
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RECEIPT POST(レシートポスト)
クラウドでの一括管理・バックオフィスのペーパーレス化を可能にするため、申請者・経理担当者の作業時間を90%削減します。
また、領収書の読み取りは自動ではなく、24時間365日稼働のオペレーターが代行入力・データ化し、99.9%という入力精度の高い経費申請ができることで、申請者の面倒な作業をカットするだけでなく、手直しの手間もかかりません。
パソコンからのアクセスはもちろん、iOS/Androidともにレシートポストの専用アプリが用意されているので、スマートフォンやタブレットからの申請が可能です。
システムは、高水準のセキュリティ体制で管理されている国内サーバーによって運営されています。複数拠点でのバックアップも実施されているため、セキュリティの面でも安心です。
料金プラン
利用ユーザー数無制限の料金形態を実施しているため、従業員全員にアカウント付与することができます。
初期費用は300,000円から、月額費用は¥30,000から利用開始が可能です。
ジョブカン
高いコストパフォーマンスに定評がある経費精算システムです。
またシリーズで製品展開をしており、ジョブカン勤怠などの姉妹製品と連携させることで社内のあらゆる申請を効率的にクラウド管理することができます。主な機能として、ICカードからのデータ取り込みが可能な交通費精算機能や、仕訳データ、FB(ファームバンキング)データの自動生成機能をはじめ、Googleアカウントとの連携ログインやチャットツールを利用した申請・承認や通知設定などさまざまな便利機能が用意されています。
セキュリティ体制では、世界有数の防災性能を持つデータセンターへのサーバー設置や暗号化通信、IPアドレスによるアクセス制限などにより、安心して利用することができるでしょう。
料金プラン
1ユーザー(1人)ごとの月額利用料金で利用が可能です。
初期費用0円、月額利用料金は1ユーザーにつき400円から(最低利用料金は¥5,000)導入できます。
Concur
Concurは、アメリカ発祥の経費精算システムです。
1,000人規模以上の大企業をターゲットにしたConcur Expense Professionalと、300人規模以下の企業に最適化したConcur Expense Standardなど要件に合わせたパッケージが準備されています。
タクシー配車アプリや名刺管理アプリなどの外部サービスとの連携が豊富なため、企業ニーズにあわせて自在にカスタマイズすることができます。
また姉妹製品である出張管理システムのConcur Travelを併用することで、ビジネストラベルマネジメントサービスを活用した出張費の最適化も可能です。
外部サービスを活用し自在にカスタマイズしたい企業、国内外に複数拠点を持つ企業などにおすすめの経費精算システムでしょう。
料金プラン
中小企業向けのConcur Expense Standardは、短期間にシンプルな構成で経費精算業務を効率化できるブランです。
初期費用は0円から、月額費用は2,900円から利用できます。
中堅・大企業向けのConcur Expense Professionalに関しては各会社のニーズに合わせて設計・導入を行うため見積が必要です。
eKeihi
日本で初めて電子帳簿保存法に完全準拠したシステムで、発売から20年を超える業界最長の経費精算システムです。
標準オプションで、申請・承認機能をはじめ、クレジットカードやICカードとのサービス提携、60種以上の会計ソフトとの連携など最先端の機能が装備されています。直感的に操作できるUIのため、経理知識がなくても経費精算ができることや、自動仕訳など便利な機能によって業務効率化を図ることができます。
またMicrosoft Azureを採用した世界トップレベルのセキュリティと、稼働率100%のクラウドサービスを維持しているため安心して利用することができるでしょう。
料金プラン
手軽に導入できるクラウド型と、自社サーバでランニングコストを抑えた運用ができるオンプレミス型の2種類のサービスが用意されており、ニーズに合わせてサービスの切り替えも可能です。
クラウド型の初期費用は0円から、月額費用は29,000円から
オンプレミス型の初期費用は650,000円から、年間の保守費用は72,000円から
まとめ
テクノロジーの発達によってさまざまな書類が電子データ化され始めている現代、税務書類の電子データによる保存は、今後ますます普及していきます。
そして、企業活動において欠かせない経費精算業務を、経費精算システムの利用で合理化し、経費の申請者・承認者・経理担当者それぞれの負担を軽減させることにより、労働生産性の向上とコスト削減も実現可能になるでしょう。
今回紹介したおすすめの経費精算システムを参考に、自社にとって最適な経費精算システムを選定し、生産性向上とコスト削減を実現してみてはいかがでしょうか。
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