テレワークやリモートワークの広がりとIT技術の進歩を受け、いつでもどこからでもオンラインで業務ができる時代になりました。しかし、データベースにアクセスする端末が増えたり、オンラインでのやり取りが増えることで、情報管理に不安を覚える人も少なくありません。そのような不安を払しょくするため、安全で快適にテレワークを行うための仕組みとして「シンクライアント」が改めて注目されています。というのも、シンクライアントを活用すれば、様々な端末からオンラインで安全にデータの閲覧や編集ができるようになるためです。この記事では、シンクライアントの仕組みや種類、導入のメリット・デメリットについて詳しく見ていきましょう。
シンクライアントとは?
テレワークの広がりとともにシンクライアントという言葉を耳にする機会も増えたのではないでしょうか。シンクライアントが求められる背景とその仕組みについて見ていきましょう。
シンクライアントが求められる背景
テレワークやリモートワークが一般化し、いつでもどこからでも安全に作業できる環境づくりが必要とされました。しかし、社外で使用する端末全てにセキュリティ管理を徹底することは難しく、データの入った端末を持ち運びするのも安全ではありません。そこで、考えられたのが、データやアプリケーションをサーバーに格納し、操作端末には必要最低限の作業しか行わせないシンクライアント方式です。
シンクライアントの仕組み
シンクライアントの基本的な仕組みは、サーバー上に仮想のデスクトップを割り当て、クライアントが別の端末からその割り当てられた作業環境内で操作を行うというものです。「Thin Client」のThin、薄いや厚みがないという意味のとおり、クライアント側の端末には作業に必要なデータもアプリケーションソフトもありません。サーバー内に割り当てられた作業環境の中で、クライアント端末からリモートでアプリケーションを操作している状態です。
シンクライアントのメリット
サーバー側には大きな負担がかかりますが、運用管理やセキュリティ面で様々なメリットが得られます。シンクライアントを利用するメリットについて見ていきましょう。
クライアント側からの不適切な操作を防ぐ
Windows11のキヨスク機能を利用したことがある人はわかると思いますが、クライアント側からはサーバー側から許可された操作しかできなくなります。そのため、クライアントがシステムの根幹となる部分を勝手に変更したり、アプリケーションを無断でインストールすることはできません。
データの流出やウイルス感染の危険性を減らす
作業に必要なデータやアプリケーションは全てサーバー内に用意されています。クライアント端末画面に表示されているものはイメージ画像に過ぎず、サーバー内から作業端末へデータをコピー&ペーストすることができません。また、クライアント側から直接データを送ることも不可能です。万が一クライアント端末がウイルスに感染しても、サーバーに伝播することが無いため、高い安全性を保持することができます。
クライアント側端末は最低限のスペックでいい
サーバー内に必要な作業環境が整えられているため、クライアント側端末は最低限のスペックでいいことも魅力です。安価な専用端末を新たに購入したり、すでに持っている個人用パソコンに専用アプリケーションをインストールし、クライアント端末化するのも良いでしょう。求められるOSやネットワークの定義は、シンクライアントを構築するシステムによって異なるため、あらかじめ確認しておくことが大切です。Mamasan&Companyの場合、現時点で必要とされるスペックは、WindowsならWin8.1以上、Macなら10.13以上となります。
管理・運用が一元化できる
シンクライアントを利用することで、重要なデータをはじめ各クライアントの作業環境がサーバー内に集約できるため、OSやアプリケーションの管理・運用が一括で行えます。システムの更新やツールのアップデート、セキュリティ対策などをまとめて行うことができ効率的です。
セキュリティ管理を、端末使用者の裁量任せにならない点も大きなメリットと言えます。
シンクライアントのデメリット
シンクライアントのデメリットは、サーバーへの負荷が大きいことやネットワークに依存していることなどがあげられます。
サーバーに負荷がかかる
作業するためのOSやアプリケーションなどのリソースが集中するため、サーバー側に大きな負担がかかります。サーバーの容量が足りない場合は、アプリケーションの動作が遅くなったり、立ち上がらないなどの不具合が生じ、業務に支障が出かねません。サーバーの負荷を減らすため、作業環境内の不要なデータやブラウザのキャッシュの削除など、一人ひとりがデータ管理を適切に行う必要があります。適宜サーバー容量を見直していくことも必要です。
インターネット環境が必要
パソコンからの操作やサーバーからの通信はインターネット回線を介して行われます。通信速度が十分にないと動作の遅延が起こるため、操作性が著しく低減します。当然ですが、何らかの理由でネット回線がダウンした場合は、データもアプリケーションもないため業務は行えません。
シンクライアントの種類
シンクライアントの種類は、イメージファイルをダウンロードしてクライアント端末のCPUやメモリを使用する「ネットブート型」と、サーバー側で一切の処理を行い端末には結果を表示させるだけの「画面転送型」に分けられます。現在主流となっている「画面転送型」は以下の3つの方式に分けられます。
ブレードPC型
クライアント端末それぞれに対応するPCブレードを用意する方式です。実作業を行うPCブレードにはOSや各種アプリケーションをインストールしておきます。クライアント一人ひとりに最適な環境が設定できるメリットがある反面、保守管理の複雑化やコスト増加といったデメリットがあります。
サーバーベース型
一台のサーバーを複数クライアントで共有する方式です。比較的運用が楽で1クライアントあたりのコストを抑えることができるものの、作業環境は統一されたものになります。現在画面転送方式の中では最も一般的な方式です。
デスクトップ仮想化(VDI)型
サーバーベース型とブレードPC型を組み合わせたような仕組みです。サーバー上で、複数の仮想PCを構築・実行することで、ブレードPCが複数ある状態を作り出します。今後主流になるとされているのが、このデスクトップ仮想化型です。
だから安全!シンクライアント
画面転送型のシンクライアントなら、最低限の機能があれば現在使用しているノートパソコンやデスクトップパソコン、タブレットなどをそのまま操作端末として利用できます。作業を集約するためのサーバーは必要になりますが、データやOS、アプリケーションの運用・管理コストを格段に減らし、安全な環境で業務を行うことが実現可能です。
テレワークで行うデータのやり取りやノートパソコンの持ち出しに不安を感じたら、シンクライアントを検討してみましょう。
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