数年前から幾度もサービス終了が延期されてきましたが、 2022年6月16日に MicrosoftはついにInternet Explorer(以下 IE)のサポートを終了しました。Microsoftの公式ブログによると、今後はIEを起動しようとするとEdgeが起動されるように変更されていくとのことです。パソコンを立ち上げると現れたあの青い「e」ともついにお別れとなります。
組織内の業務アプリケーションや取引先との関係でIEを使い続けている法人が多い中、なぜMicrosoftはIEのサポートを終了したのでしょうか。また、サポート終了で企業にはどのような対応が求められるか見ていきましょう。
IEの普及とサポート終了の理由
私たちの生活に欠かせないインターネットの普及と共にIEはシェアを拡大していきました。IEの誕生と普及、そしてサポート終了までの流れはどのようなものだったのでしょう。
IEの誕生と時代背景
1995年にIEは英語版 のSpyglassからライセンスを受けたNCSA Mosaicをもとに開発されました。その年に阪神・淡路大震災が発生した際、被害の様子をインターネットで世界に送り続け、インターネットが災害時の通信手段として認識されたのです。
同年の暮れには「Windows 95」が発売され、秋葉原など各地の電気屋街には午前0時の販売開始を待つ人の長い行列ができ、深夜のカウントダウンイベントがテレビや新聞で報道されました。このWindows 95がきっかけで個人や企業へ急速にパソコンが普及していき、「Microsoft Plus! for Windows 95」に同梱されていたIEは2003年には約95%までシェアを伸ばしていったのです。
IEはなぜ衰退したのか
なぜ、今まで普及していたIEが日本国内で4%台、世界でわずか0.57%までシェアを減らしていったのでしょうか。
その原因の一つは脆弱性です。規格が古いことから最新のウイルスや不正アクセスなどに対応していませんでした。その他にも、IEは「W3C(World Wide Web Consortium)」のWeb標準規格に準拠しておらず、バグの修正など改善に工数がかかっていました。
また、独自の機能が追加されると動作が重くなるIEは、ユーザーのストレスの一因になっており、IEに不満を持つユーザーは、シンプルで動きが速いGoogle Chromeなどに流れていったのです。
IEサポート終了の影響と対応策
サポート終了となったIEを使い続けるとどのような影響がでるのでしょうか。リスクに対する認識と対応策を確認していきます。
サポート終了後にIEを利用し続けるリスク
サポートを受けられなくなるIEを利用し続けるリスクは3つあります。
1.利用できないサービスが増えコンテンツを閲覧できなくなる
2. セキュリティが脆弱になる
3. 動作不良が起こるリスクが高まる
最近のサイバー攻撃は、より一層巧妙化してきています。古いWebブラウザを使い続ける限りセキュリティリスクは発生し、失う信頼や与える損害は莫大なものになります。
IT活用がビジネスの必須条件になっている今、すぐにでも「脱IE」を検討するべきでしょう。
IEの代替Webブラウザ
IEの代替Webブラウザとしては「Microsoft Edge」「Google Chrome」「Firefox」などがあります。IEを使っているWebシステムやアプリケーションを代替ブラウザに移行して影響がないか確認し、影響がでるようなら改修の検討を行うなどセキュリティ対策を万全にしておくと安心です。
まだ未対応の企業は、早急に着手を!
一時は高いシェアを維持したIEのサポート終了について「本当に困る」と戸惑う声や、「やっとIEから解放される!」と喜ぶ声など、さまざまな意見があるようです。
EdgeのIEモードは2029年までサポートされると発表されており、IEのみで動作するように作成されたコンテンツも閲覧できます。しかし、それ以降はコンテンツを利用できなくなる可能性があるため、ブラウザを使い分けたりする煩わしさも発生します。
また、サポートが終了となったIEを利用することが、企業イメージの低下に繋がりかねません。様々なリスクを避けるためにも、具体的な対応がまだできていない企業は、早急に着手しましょう。
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