カンボジアでクメール正月と並んで重要な行事である「ボン・プチュンバン」
(盂蘭盆)が10 月12 日から29日にかけて行われました。
日本のお盆と同じ先祖祭祀の意味を持つ宗教儀式で、
太陽暦の満月の日から15 日に渡って行われます。
陰暦の28 日を挟む3 日間が祝日となり憲法記念日も重なり大型連休となります。
通常、このボン・プチュンバンの時期は幾つも寺を参拝し施食や寄進を行います。
故人の霊がこの時期に帰ってくると信じられており、最低7 ヶ寺以上参拝することが習わしです。
さもなければ子孫に不幸をもたらすと言われています。
ボン・プチュンバンの期間中、
定められた1 日は明け方に一口大のおにぎりのようなものを境内を回りながら投げ、
苦しんでいる霊を慰めるといった一風変わった儀式も執り行われます。
カンボジアに移り住んで間もない頃、
当時の大家さんがなんの前触れもなく幾つものおにぎりを持って現れ、
連れ出されたことを思い出します。
訳も分からず、カンボジアにもおにぎり文化があるんだと、
道中で食してしまい失笑を買いました。
それ以来、この儀式に参加する機会はなかったのですが、
結婚してからは主人の家族に連れられて参拝する寺では例年大勢の人が訪れ、大盛況です。
参拝者の施食でご馳走が溢れかえり、順番に希望する参拝者に分け与えられていきます。
お布施をすると祭司が「XX村の○○さんからお布施XXXリエル頂きました~」
と割れんばかりの大音量でお知らせしてくれます。
少し高額のお布施が入ると境内がざわめき、時のスターのように注目を浴びます。
なんだか現金主義ですね。
近年は参拝よりも海外旅行と言った若者も増え始めてきました。
どちらにせよボン・プチュンバンが近づくと心ここにあらずで、
「お寺いくつ回ったの?」と時候の挨拶の如く取り交わされる会話で私の無関心さに、
非国民だと(私は国民ではないが…)非難されるところをみるとまだまだ先祖を偲び、
家族の絆に重きを置く国民性であることには変わりないと感じています。
普段、寺の参拝は信心深い夫のみですが、
この時期になると家族揃って寺を参る準備をする私は現地化がジワジワと進んでいるのでしょうか。
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