従業員が立て替えた経費の精算業務は、従業員との信頼関係にもかかわる間違いがあってはいけない重要な社内業務の一つです。しかし、経費精算業務には時間がかかり、立て替えた経費が従業員に払い戻されるまでの流れが長く、出張が多い社員には経済的な負担にもなりかねません。また、立替経費の申請は煩雑で、頻繁な立替えや出張などの多い従業員は、立替経費の申請書を作成するために思いのほか時間を取られてしまうことも多いでしょう。
近年、スマートフォンなどの端末にダウンロードして使えるアプリやクラウドシステム、アウトソーシングなどを活用し、これまでの煩雑な経費精算業務の効率化や、問題の解決を実現している企業が増えています。それらの企業がどのような方法で効率的な精算業務をおこなっているのか、今回はいくつかの方法を見ていきましょう。
経費精算は社員の負担?立替経費の精算業務
立替経費は経理業務の中でも量が多い業務の一つです。経理担当はもちろん、自分で立て替え払いをする社員の負担は軽視できません。申請の際に提出する書類は記載が必要な内容が細かく、申請後は二重チェックを行うなど、お金に関わる業務のためチェックにも時間と労力がかかります。特に海外出張などは内容が理解しづらいこともあるため、経費申請に不備が多く社員同士の信頼関係を損なうことも少なくありません。
立替経費とは?
本来は会社が負担すべき経費を、一時的に社員が立て替えた経費のことを立替経費といいます。社員が支払った費用は立替経費として、後日経費精算されます。例を上げると、会社で購入すべき「文房具」や移動等に要した「交通費」などは、「立替金」という勘定科目を使い「消耗品」や「交通費」として経理処理をします。立替経費は「立替購買」とも呼ばれています。
経理担当者の負担
立替経費は旅費、通信費、接待交際費と消耗品費が多く、特に出張費での経理処理は多くのフローが発生します。出張でかかった費用を証明するための領収書や日付のチェックなども重要で特に仕訳の日付に注意する必要があり、決算をまたいで立替金処理が発生するときは処理方法が異なる場合もあるでしょう。また、社員の立替経費の負担額が大きくならないような対策も必要ですので、経理の負担は少なくありません。
立替する社員の負担
2019年に行われた「会社員の経費申請」に関する調査では、「経費申請せずに“経費自腹”をしたことがある」という回答が64.4%あり、うち約2割が『申請フロー』『申請時の雰囲気』において「申請しにくい」と感じていると回答しました。「経費立て替えにより生活が圧迫された経験がある」の回答が2割もあり、特に出張などの多い営業職は経済的にも負担が大きくなります。また、申請に必要な書類も多く細かいチェックも重要になるため、本来の業務に集中できずモチベーションの低下にも繋がるでしょう。
立替経費の手間を減らすには?
会社の業務で必ず発生する立替経費業務は、件数や金額が増えるにつれ各担当者の負担も大きくなり、作業にかかる時間や担当者の負担に多くの企業が悩まされてきました。そんな企業のネックとも言える立替精算業務の手間を減らす具体的な方法について紹介していきます。
社内のワークフローを効率化
立替金の支払いが多くなる営業担当などには、法人用クレジットカードを持たせることで経済的負担が軽減されますし、経理業務の負担を減らすことができます。また、精算の期日を設け精算した差額を給与と一緒に給与口座に振り込むことで、給与の振込と立替精算を一括できるので作業の負担軽減が期待できるでしょう。
経費精算システムやアプリの導入
経費精算システムの導入で、面倒だった交通費の計算や必要事項の入力が自動化されます。クレジットカードや各種交通系ICカードとの連携、会計ソフトへのCSV出力なども可能なので、手間や人の手によるミスを減らすことができるでしょう。
また、システムによって運用されるため、経費精算フローが徹底され不正の抑制や内部統制の強化にも期待できます。さらに、スマートフォンなどの端末にアプリをダウンロードすることで、申請者はいつでもどこからでも申請でき隙間時間の有効活用が可能になります。
アウトソーシングの活用
経費精算システムの導入とアウトソーシングの活用で経費精算業務の負担を減らすことができます。領収書の管理や会計システムへの転記、申請内容の確認などシステムでは賄えない様々な業務もアウトソーシングすることができるため、経理担当者の負担を大いに減らすことができるでしょう。アウトソーシング会社が受託する経理業務は、簡単な入力業務から専門的な知識の提供するコンサルティング業務まで多岐にわたります。
殆どの代行会社が企業のニーズに合わせてサービスを行っていますので、立替経費業務だけのピンポイント依頼から、経理全般まで企業の意向に合わせてサービスを提供してくれます。出向社員として自社内で作業してくれる人材を提供してくれる代行会社もあるでしょう。
経費精算システムの導入で業務効率化を
経費精算を効率化するために最も有効な方法が経費精算システムです。アウトソーシングを検討している際も、経費精算システムを一緒に導入することで工数が減り、費用を押さえることにも期待ができます。経費精算システムを選ぶ際のポイントと導入時の注意点について確認してきましょう。
経費精算システムの選び方
サービスによって使える機能が異なります。クレジットカードやICカードとの連携ができるか、どのような媒体から申請ができれば利便性が高いか、運用サポートが受けられるかどうかなど、自社に必要な機能を備えているか把握することから始めるとよいでしょう。
サービスによって、料金によってユーザー数が制限されるもの、処理数が制限されるものがありますので、申請を行う社員数と月次の処理数を算出しておく必要もあります。そうすることで、自社の立替経費の運用状況に合わせたシステムを選定できます。
導入する際の注意点
比較的スムーズにシステム導入ができるでしょう。テスト期間に、ワークフローの精査や設定の再確認などを行いながら、経費精算システムに対する社員教育を進めておきます。自社だけで導入が難しそうなら、アウトソーシングをし、システム導入から代行して貰うのも一つの方法です。
アウトソーシングの担当別メリットは?
現在、経理のアウトソーシングを活用している企業が急増しています。固定の人件費を抑えられること以外にどのようなメリットからアウトソーシングの需要が伸びているのか、各担当立場でのメリットを紹介します。
経理担当者にとってのメリット
単純作業をアウトソーシングすることにより、能力のある人員は重要度の高い業務に集中することができます。アウトソーシングする方が経理担当者を1名雇うよりも費用が安く済むことが多く、残業が減ることで人件費削減も可能となります。また、社員の満足度向上も期待できるでしょう。
社員にとってのメリット
本来の業務に専念できるのはもちろんですが、面倒な申請フローがなくなることで「時間と手間をかけて手続きをするよりも自腹を切ることを選ぶ。」「少額なため会社に申請しにくい」などの精神的な負担も減らすことができます。社員が健全な精神状態で仕事に専念できる時間が増えるでしょう。
経営者にとってのメリット
経理部の負担が大きく軽減されることで人件費の削減はもちろん、人材不足の解消、業務フローの改善や効率化を実現します。社員の負担が減ることで個人のモチベーションにも影響がでるため、パフォーマンスにも繋がり生産性のアップも見込めるでしょう。
実績のあるおすすめ企業3社
企業の運営において欠かせない重要業務でもある経理をアウトソーシングするためには、依頼する企業の選択がとても大切になります。また、実際に経理業務の手間が減るのかどうかをしっかりと検証する必要があるでしょう。実績のある3つの企業を紹介します。
Mamasan&Company
Mamasan&Companyは、複数の会計ソフトやサービスにも柔軟に対応しており、さまざまなバックオフィス業務を請け負うBPOサービスを提供している会社です。
経理経験者が外注先の仕訳ルールをしっかり理解して対応し、すべてを一元管理できるシステムの導入なども提供しています。また、楽楽精算の正規販売代理店でもあり、楽楽精算を活用した経費精算業務を全て任せられる「経費精算代行サービス」も開始しました。
質が高く、迅速かつ丁寧な作業で特に経費精算業務では多くの実績があります。外注を初めて利用される方でも安心して相談することができるでしょう。
バックオフィスBPOサービス _ Mamasan&Company
トランス・コスモス
トランス・コスモスは、あらゆる分野のアウトソーシングの実績を持ち、経費処理に関しては全ての業務をフルアウトソーシングできます。
経理やシステム部門で発生する負荷を軽減することを目的に、業務調査や分析により、経費処理業務の適正工数、コストを可視化することも重要としています。独自のシステムとサービスで生産性の高い業務プロセスの提供を期待できるでしょう。
オンワードアカウンティング
オンワードアカウンティングでは、豊富な経験を持った有資格者のスタッフが処理を担当するので、迅速な対応が可能です。企業ごとに独自に管理されている紙媒体や、Excelベースなどで管理されているものにも柔軟に対応しています。
また、海外の領収書も信ぴょう性を確認した処理が可能なため、海外出張の多い企業にはとても心強い内容のサービスがあるでしょう。
業務の効率化から利益の見直しを
経費精算業務を見直すことにより、経理担当のみならず各担当社が本来集中するべき業務に時間を使えるため、業績の向上に繋がります。経理代行サービスを利用する場合、委託するべきことと自社で行うべきことをしっかり分類し、自社にとってベストな方法でアウトソーシングすることが大切です。営業の利益だけでなく、業務を効率化することで生まれる利益を見直すことも、会社にとってはとても大切なことです。
社内でも一度検討してみてはいかがでしょうか。
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