「一億総活躍社会実現」に向けた、日本企業の労働環境を見直す取り組み方として、政府が考案した「働き方改革」が今注目されています。働き方改革とは、少子高齢化による人手不足や長時間労務、労働生産性の低迷などを打破する法案であり、中小企業も導入を推進されている制度です。
これらを実践していく手段の1つに、テレワークがあるのはご存知でしょうか。
近年では、テレワークを導入している企業が増加しており、その利便性を実現しています。
しかしテレワークという名前を聞いたことはあっても、実際にどのようなことを行うのか、また、導入するメリットやデメリットについてなど、その実態がわからないという企業も少なくはないでしょう。
今回、テレワークとはどのようなものであり、更にどんなメリットがあるのか、また、導入の際の注意点なども合わせてご紹介します。
テレワークの意味や目的とは?
テレワークとは、ICT(情報通信技術)を活用し、会社以外の場所で働く勤務形態のことを指します。
総務省は「国民一人ひとりのライフステージや生活スタイルにあった柔軟な働き方を実現する重要なツール」として位置づけており、導入を実施している企業が増えています。
【出典】総務省「テレワーク実践事例集」
http://www.soumu.go.jp/main_content/000573509.pdf
テレワークの意味
テレワークは「tere(離れた場所)」と「work(働く・仕事)」をあわせた人事労務用語で、在宅勤務や遠隔勤務のことです。更に会社から離れて業務を行う人を「テレワーカー」と呼びます。
テレワークの定義
厚生労働省は「パソコンなどITを活用した時間や場所にとらわれない柔軟な働き方」をテレワークの定義としています。
1週間のうち8時間以上オフィスから離れた場所で業務を行えば、テレワークをしている状態といえるでしょう。
【出典】厚生労働省「自宅でのテレワークという働き方」
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/dl/pamphlet.pdf
テレワークの社会的意義
テレワークの普及は、少子高齢化の対策や離職率の抑止、ワークライフバランスの実現など社会的意義を多くもっており、労働者の柔軟な働き方を可能にすると期待されています。
【出典】総務省「テレワーク普及の社会的意義」
http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h27/html/nc243140.html
テレワークの種類について
時間や場所にとらわれずに仕事ができるテレワークですが、主に3つのワークスタイルがあります。自分に合ったスタイルを選ぶことで、更に業務効率化や生産性向上の効果が上がるでしょう。
では、それぞれの特徴をご紹介します。
在宅勤務
会社に出勤せず、自宅を仕事場(就業場所)として、業務に携わる勤務形態です。会社や従業員との連絡はICTツールを使用し、WEB会議やチャットでコミュニケーションをとります。
また、通勤の必要がないため時間を有効活用でき、育児や介護で出社が困難な場合でも業務を行うことが可能になります。
モバイルワーク
営業職などオフィス外での仕事が多い人が、出先でパソコンやスマートフォンを使用し、移動中や出張先などで業務を行う働き方です。
外出する業務が多い場合、様々な場所や隙間時間を利用して効率的に仕事を行うことで、生産性の向上につながるでしょう。
施設利用型勤務
レンタルオフィスやサテライトオフィスなど、勤務先以外に設けられた施設で仕事を進める業務方法です。
自宅周辺や通勤経路にレンタルオフィスなどがある場合、通勤時間の短縮で時間をより有効活用でき、仕事の効率化が期待できるでしょう。
また、レンタルオフィスの利用は、セキュアな環境によりセキュリティの面でも安心できます。
テレワークに向いてる職業
テレワークは様々な業務で導入ができ、一人ひとり自由な働き方を作っていくことができます。いくつか例をあげ見てみましょう。
オフィスワーク
データ入力や資料作成、経理入力などオフィスワーク全般の業務は、出社しなければ作業ができないと思われがちです。しかし、実際には多くの企業でオフィスワークのテレワーク化が進んでいます。
情報共有システムやICTツールを使用すればタスクやデータの共有もできるので、パソコンやタブレットを活用して場所を問わず仕事を進められるでしょう。
営業職
社外での業務が多い営業職の場合、一旦会社に戻って仕事をしなければならないことも多くあるでしょう。
しかしテレワークを活用すると、移動中や空き時間にも事務作業などの業務ができるようになり、隙間時間の有効利用が実現できるようになります。
ITエンジニアやライター
IT業界やライターの間では、多くの人がテレワーカーとして働いています。
パソコンやタブレットなどを使用して、必要に応じたシステムを随時導入します。コミュニケーションはチャットツールなどを活用することで、在宅でも問題なく業務を進めることが可能になるでしょう。
テレワーク導入のメリット
では実際に、テレワークを自社に導入すると、どのようなメリットがあるのか見ていきましょう。
離職の防止・抑制
出産や育児、介護や転勤など、様々な理由で有能な社員が離職してしまうケースがあります。しかしテレワークを導入することで、就業のためのまとまった時間を確保するのが難しい人や、育児や介護で通勤や外勤が困難な場合でも業務ができるようになり、離職の抑止が期待できるでしょう。
また、離職を防止することで、新たに有能な人材を確保する必要がないため、人的コストの軽減にもつながります。
生産性の向上
国内や海外の至るところで仕事ができるようになるテレワークは、従業員のワークライフバランスの最適化も望むことができるため、時間のゆとりやプライベートの充実が生まれます。それにより、仕事への意欲が高まり生産性の向上にもつながるでしょう。
また、自分の集中しやすい環境で業務を行えることも、生産性が上がる理由の一つです。
コスト軽減
オフィス設備にかかる光熱費や事務用品の他、作業スペースも必要がないため、大幅なコスト削減ができます。
また、業務効率があがれば残業代や時間外手当の発生もなくなり、テレワークを導入することで通勤手当の負担を減らすことが可能となるでしょう。
導入の注意点(デメリット)
テレワーク導入で会社に大きなメリットがある反面、導入時に注意しておきたい点(デメリット)もあるのでご紹介します。
勤務時間の管理が難しい
テレワークは就業時間が決まっていないため、従業員の勤務状況の把握が難しくなります。更に勤務しているかどうかや、作業を行っているかも確認しにくいため、勤怠管理が不可視になりやすいでしょう。
しかし、テレワーク専用の勤怠管理システムなどを導入することで、従業員の業務状況は少なからず把握できるようになります。
セキュリティ管理の必要性
社内での業務は、限られた回線で社内サーバーに接続し、何か異変があった際でもシステム管理者が対応できるようになっています。しかし、テレワークは会社の外や自宅で作業を行い、様々なネットワークから社内システムへアクセスするため、ウイルス感染や情報漏えいのリスクが上がります。
そのような場合は、信頼性の高いセキュリティシステムを導入し、常にセキュアな環境の元で業務を行えるようにする必要があります。
コミュニケーション不足
テレワークを導入すると、誰とも顔を合わせることなく業務ができてしまうため、社員同士のコミュニケーション不足が心配されます。コミュニケーション不足は業務効率の低迷や、チーム力を希薄にし、会社全体の生産性を下げる可能性ががあります。
従業員のコミュニケーション不足を防ぐためには、チャットツールの活用や、悩み・不安事を相談できる窓口を設けるなど、テレワーカーが孤独感を抱かないようにすることが重要です。
まとめ
テレワークは、優秀な人材の確保と業務の効率化を実現し、大規模な人手不足の解消策として、政府が推奨しています。また、多様化する労働者のニーズに応えるための方法のひとつとしても大変有効です。
そのため、今後ますます導入する企業は増え、必要性も高まってくることでしょう。
一見、難しいと思われるテレワーク導入ですが、信頼性の高いセキュリティシステムや管理システム、ICTツールを上手く活用することで、導入時の不安は大きく軽減することが可能です。
他にも、導入とサポートを丸ごと行ってくれる、テレワーク導入の業務委託サービスや、テレワーク導入のためのサポートツールなども増加しています。
実際に導入し効率化を進める企業も多いため、まずはテレワークのメリット・デメリットをしっかりと把握し、効率よく導入・活用できるよう、はじめの一歩を踏み出してみましょう。
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