昨今、業種にかかわらず企業における人材不足の問題は長期にわたり深刻なままです。さらに、新型コロナウイルスをはじめとする世界的な感染症流行や自然災害など、不測の事態が起きても影響を受けずに働くことができる労働環境が求められています。
これらの問題に対する解決手段として、仕事と休暇を組み合わせた新しいワークスタイルである「ワーケーション」という働き方が注目されています。企業がワーケーションを導入するメリットとデメリットを踏まえながら、必須となるテレワークの導入方法や支援サービスについて見ていきましょう。
ワーケーションとは仕事と休暇を組み合わせた新しい働き方
ワーケーションは、「work(労働)」「vacation(休暇)」を組み合わせた造語です。インターネットの環境があれば時間や場所の制約を受けずに柔軟に仕事ができるテレワークを活用して、長期休暇先で仕事をすることを指します。比較的新しい働き方といえるワーケーションとはどのようなものなのか、その概要を紹介します。
在宅ワークとの違い
ワーケーションは、テレワークが行われていることを前提とする働き方です。テレワークとは、時間や場所の制約を受けず柔軟に働く形態の総称なので、社屋に出勤しない働き方として既に社会一般に浸透している在宅ワークと、新たな働き方であるワーケーションの双方が、テレワークの一種といえます。
在宅ワークとは、テレワークによって自宅で仕事をする働き方で、あらかじめ企業と決めた働く場所以外での勤務が禁止されている場合があります。勤務時間も会社勤務と同じように設定されていることがほとんどです。
一方ワーケーションであれば、休暇中の旅行先などで仕事をする働き方なので、働く場所は日本国内にとどまらず全世界にも広がります。勤務時間も休暇を楽しみながら好きな時間に働けるのも特長です。
ワーケーションが生まれた背景
新しい働き方であるワーケーションは、2000年代のアメリカで誕生しました。
当時のアメリカは、休暇を取っても結局仕事をしなければならないため、有給取得率が慢性的に低い状態でした。それでも企業からは「休暇を取れ」と言われるため労働者はジレンマに悩まされていました。そこで逆転の発想として、休暇中に仕事を行うことを是とし、制度化するアイデアが生まれ、ワーケーションとしての働き方が始まりました。
休暇中の勤務許可を制度化したことで、企業側から無理に休暇を取らされる風土がなくなり、さらに社内でも休暇を取りやすい雰囲気になりました。
ワーケーション導入のメリット・デメリット(企業側)
ワーケーションを導入することで、企業側から見て様々なメリットがある一方、活用方法によってはデメリットにも転じる可能性があります。ワーケーション導入によって考えられるメリットとデメリットについて、主に企業側に生じるポイントに着目して見ていきましょう。
長期休暇の取得を推進できる
長期休暇取得を思いとどまらせる要因として、企業側と社員側の双方が「業務が滞ってしまう」ことを懸念する点が挙げられます。しかし、ワーケーションを導入することで、長期休暇中も規則に則った形で業務の継続を実現することができます。
また、社員にとっても長期休暇取得のハードルが低くなり、根底にある懸念事項が解消されるので、休みを取りにくい社内風土を変えることにも繋がります。結果的に、社員の労働意欲の向上や離職数減少の効果が期待できます。
効率的な仕事につながる
ワーケーションを活用して旅行先などから仕事をする場合には、プライベートを満喫させるため、効率よく業務を行うモチベーションを自然と生み出します。また、休暇中でも重要な業務を継続させている実感がわくことで、仕事への責任感を維持していくことができます。NTTデータ経営研究所が行った、ワーケーションの効果実証実験では、「仕事とプライベートの切り分けが促進される」「仕事のパフォーマンスが参加前と比べて20パーセント程度上がるだけでなく、終了後も5日間は効果が持続する」などの結果が示されています。
【参考】「ワーケーションは従業員の生産性と心身の健康の向上に寄与する」
働き方改革の一環になる
テレワークの推進は、首都圏の渋滞緩和や混雑緩和、少子化による労働人口減少に対応して労働力を最大限活用すること、有能・多様な人材の確保と流出防止などの効果が期待できます。そのため、政府が進める「働き方改革」の中でも、大きな意義ある事案として取り上げられています。
【参考】「総務省|テレワークの推進|テレワークの意義・効果」
導入と運用には時間とコストがかかる
ワーケーションを導入するために、企業はテレワーク環境を構築することが大前提となります。具体的には、必要となるインターネット環境の回線確保、VPN(Virtual Private Network)が使える環境を整えるなどの準備、社員が使うパソコンの確保などを行わなければなりません。ハード面の整備に限らず、オンライン会議やチャットなど、業務上で使用するツールの選定を進める必要もあります。
さらに、業務上の機密保護を目的としたセキュリティ対策や個人情報取り扱いのルール化、機材の管理についても、あらかじめ取り決めておかなければなりません。特にセキュリティ対策には、コストをかけた分だけ強靭な環境を得ることが可能です。
このように導入だけでなく、その後の安定的な運用のためにも、テレワークの活用には毎月コストがかかる点は留意すべき事です。
労務管理の課題を検討する
ワーケーションを初めとして、社員がテレワークで仕事を行う状況がスタートする前に、出退勤の管理など、労務管理についてをあらかじめ取り決めておく必要があります。
リモートワークを取り入れている会社であれば、同様の勤怠管理システムを活用しながらも、要項について勤務規則がワーケーションにも対応する文言になっているかどうかを再確認しましょう。
テレワークそのものの導入からスタートする場合には、社内規則でテレワーク時の勤怠の取扱いを決め、社員への周知を進めます。特に、勤務時間や休憩の記録方法についてや休暇中における勤務の取り扱いについてを明記しておくと、ワーケーション導入もスムーズに行えるでしょう。運用の際に、テレワーク用の勤怠管理ツールを使うのもおすすめです。
ワーケーション導入のメリット・デメリット(従業員側)
休暇中に業務を行えることは、従業員にとって大きなメリットがあるものの、デメリットとなりえるケースも存在します。ワーケーションのメリットとデメリットを、従業員の目線で紹介します。
有給休暇が取りやすくなる
企業側のメリットとしても挙げられていますが、従業員が休暇中に業務が滞ってしまうという懸念を払拭できることは大きなメリットです。ワーケーションを導入することで、長期休暇中も規則に則った形で業務の継続を実現することができるため、社員一人一人の長期休暇取得に対するハードルが低くなります。
休暇前後の引き継ぎに苦労しない
長期休暇を取る場合、不在中の業務対応をあらかじめ誰かに引き継いだり、休暇明け久々の出勤時に、不在中の状況を把握する必要があり、さらに大量の業務をこなさなければならないといったケースが起こりやすいでしょう。
しかし、ワーケーションを活用することで、休暇前後の引き継ぎ業務を減らしたりなくしたりできます。また、常日頃からの業務分散化のきっかけともなるでしょう。
プライベートの充実を図れる
ワーケーションによって長期休暇を取得するハードルが低くなれば、これまで諦めていた趣味の時間が確保できたり、遠方への旅行が実現できたりと、プライベートをより充実させることにも繋がります。家族との時間をワーケーションによって確保できれば、家族水入らずの時間が過ごせるだけでなく、家族に仕事をしている姿を間近で感じ、仕事に対する理解を深めてもらう機会にもなりうるでしょう。
業務管理は個人に委ねられる
ワーケーションでの業務遂行には、社内規則に照らし合わせながら、どこまでの業務を休暇内で対応するのか判断が必要になるでしょう。出社している社員と共同で進めていく部分の有無や納期など、裁量次第で休暇中の業務にあてる時間や労力が大きく変わってきます。事前予測が甘ければ、結果的に休暇と仕事の線引きができない状態で過ごすことも予想されるため注意が必要です。
また、時間の管理だけではなく、モバイルパソコンやタブレットなど、通信端末の管理を責任をもって行わなければなりません。これはテレワークを導入する企業側も紛失や盗難のリスクがあることをきちんと理解し、社員にも同様に認識してもらう必要があります。
【参考】テレワーク導入企業必見!テレワークのセキュリティリスクと対策
ワーケーション実現にテレワークの環境構築が欠かせない理由
ワーケーションを実現するためには、オフィス以外の場所にとらわれず働ける環境として、テレワークの導入と環境構築が必須と言えます。その理由について詳しく見ていきましょう。
「環境構築」には働きやすさがかかわる
通常出勤して行っている業務を出来る限り維持したままワーケーションを開始するには、テレワークとワーケーションをセットで考え、環境を構築することで、初めて休暇中にも業務が行える状況を作り出せると言えます。また、テレワーク導入において、通信環境の構築とセキュリティ対策だけを環境構築とらえてしまうと、その後のテレワーカーたちの管理や業務の運用に支障を来たし、途中でとん挫するといったことにもなりかねません。
テレワークの環境構築には、ハード面の整備だけでなく、社内の業務管理や人員マネジメント方法など、幅広い分野で改革が必要であると認識し、進めていく必要があります。
ワーケーションに必要なテレワークの導入を支援します
これまでテレワークをおこなっていなかった企業が、ワーケーションに向けてテレワーク環境を整える場合、イチから全てを網羅し構築するのはハードルが高いと言えます。そこで、テレワーク導入を支援している企業サービスを活用するのがおすすめです。
今回は、テレワーク運用経験の長いMamasan&Companyが提供する、テレワーク導入支援サービスについて紹介します。
テレワークの導入」はMamasan&Companyにお任せください!
Mamasan&Companyはテレワークのプロ集団
Mamasan&Companyは、10年以上に渡り世界中のテレワーカーを管理してきた実績をもつ、BPO事業を中心としている企業です。大手企業の経理や人事といったバックオフィス業務の受託や、在宅でのコールセンター運用といった様々なサービスを展開しています。
業務を担うワーカーが9割以上テレワークで働いているのが特徴で、セキュリティ面だけでなく人員マネジメントにおいても実績と信頼を誇ります。
ハード面とソフト面の双方をサポート
Mamasan&Companyのテレワーク導入支援サービスでは、非常に強固なセキュリティの中で、クラウド型の業務環境の構築、ポータルシステムの提供やスムーズな運用のサポートを行っています。
さらに、各企業のニーズに合った形で、テレワーク環境下で具体的に業務を回していくためにはどのようにしていけば良いのか、中長期的な計画を立てた上でコーチングを行うことも可能です。システムの使い方だけでなく、勤怠管理方法や遠隔でのマネジメント方法、就業規則や社内規定の整備などきめ細やかにサポートします。
まとめ
働き方が多様になりつつある中で、テレワークの利点を最大限活用した働き方がワーケーションです。日本での認知度はまだ高いと言えない働き方ですが、時間と場所にとらわれない柔軟な働き方であるワーケーションを取り入れることで、企業と従業員の双方にとって多くのメリットがあります。
企業側は導入のために必要不可欠なテレワークの環境構築について、事前に準備をしっかりと行わなけばなりません。ネットワーク環境やセキュリティ面での対策だけではなく、同じ場所に社員がいない状態でも業務を滞りなく進められるような体制作りが重要といえます。
これからテレワークの導入を考えている企業は、テレワークのプロが提供するテレワーク導入支援サービスを活用するのも有効な手段と言えるでしょう。
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