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海外進出はメリットいっぱい!?デメリットを抑えた成功の秘訣とは

2020年8月19日 15:00 カテゴリー : BPO Times

縮小傾向にある日本市場からの脱却を目指し、現在多くの企業が海外に拠点をかまえています。しかし、海外進出時も進出後も、多くの企業を悩ませるのは海外進出のデメリットである様々なリスクです。現地賃金の大幅な上昇、現地国の法令の改定、政治や経済情勢の悪化など不安材料は数多くあります。

そのリスクを押して、あえて海外進出に踏み切る理由やメリットについて解説するとともに、海外拠点運用のためのより良いリスクコントロールについて検討していきましょう。

日本企業が海外進出するメリット・デメリット

多くの企業が海外進出する目的、また海外進出にあたるリスクとはどのようなものがあるのでしょうか。

海外進出するメリット

海外進出する背景には様々な目的やメリットがあります。

  • メリット1・販路の拡大
  • メリット2・コストの削減
  • メリット3・節税効果

海外進出するデメリット

一方海外進出には様々なリスクが伴います。

● デメリット1・人件費の上昇
● デメリット2・為替の変動
● デメリット3・現地人材の育成や管理の難しさ
● デメリット4・現地の法制度や規制、経済情勢

メリット1・販路の拡大

海外進出の一番大きな理由はこの「販路の拡大」にあります。日本市場の今後を踏まえたグローバルな販売戦略が企業の生き残りを左右するためです。

日本の市場は縮小傾向

日本は少子高齢化が進み、GDPで表される国内総生産も横ばいからの緩やかな減少傾向にあります。今後の日本市場は縮小する一方であるうえ、市場の細分化も進み国内市場は一つのパイを奪い合う激しい競争となっています。その中で、販路の拡大を求める日本企業がいまだ優位性を保つ日本商品をもって海外進出を目指すのは自然な流れでしょう。

日本市場が縮小するのと反対に、世界全体の市場は拡大し続けているからです。

新規顧客獲得のための拠点として

海外に拠点を構えることによって、現地のニーズの調査やローカライズした商品企画、現地の企業との折衝がよりタイムリーに行えるようになります。また、支払いなどのやり取りも現地通貨で行うことが可能となるため、為替変動に対するリスクヘッジが可能です。さらに、法人として起業すれば現地の銀行などからの融資も期待できます。

メリット2・コストの削減

海外拠点のメリットは、人件費や物価の低さもあげられ、上手に活用すればコストを抑えた海外進出や運用が可能です。

安い人件費で生産コストを削減

生産拠点として海外進出をしている企業にとって賃金の低さは魅力です。より安い賃金で生産ができれば、人件費の差額は全て利益となるでしょう。OECD(経済協力開発機構)の調べによると、2018年度の月額法定最低賃金は、ベトナムで約20,000円、フィリピンで約27,000円、ミャンマーは約10,000円などと日本と比較して非常に低いことがわかります。

【出典】 「三菱 UFJ 銀行 国際業務部 _アジアの最低賃金動向」

物価が低い国でオフィスコストを削減

最低賃金が低いため、こうした国は物価も低い傾向にあります。例えば、日本で150円するジュースがベトナムやミャンマーでは30円程度であったりするでしょう。

現地への輸入が必要な商品は価格が上がる傾向にありますが、現地で生産されているものや土地、サービスなどは安価で手に入れることができるため、オフィスコストの削減が可能になります。

メリット3・節税効果

傾向としてはどの国も法人税の引き下げを続けています。それぞれの国の法人税について少し触れていきましょう。

より法人税の低い国で節税対策

日本の2019年における法人税は29.7%と、ハンガリーの法人税9%などと比較するとやはり高めで推移しています。もし、ハンガリーに海外拠点をおけば、法人税を今の3割程度払うだけで良くなるでしょう。

【参考】「法人税率の国際比較をさぐる(2020年時点最新版)」

節税効果を期待しての海外進出は要注意

国によっては海外の企業を招致するため法人税を優遇していますが、そういった地域は政情が不安定であったり、経済が未熟であったりとカントリーリスクをはらんでいる場合があります。

また、こういった税金逃れのための海外進出を規制するタックス・ヘイブン対策税制という制度もあるため、利用する際は注意が必要です。

デメリット1・人件費の上昇

海外に生産拠点を構える場合、現地の人件費の上昇は懸念すべきデメリットです。今後の人件費の上昇率を加味し、計画を立てることが非常に大切になります。

中国北京の賃金上昇は15年で7倍に

安い人件費で大量生産を担っていた中国北京も、この15年ほどで一般工員の賃金は7倍ほどに跳ね上がりました。それでも日本人の賃金と比較すればまだ3分の1程度ですが、今後も賃金の上昇が続けば経営を圧迫しかねません。

【出典】「2017年度 アジア・オセアニア投資関連コスト比較調査」

東南アジアの国々やアメリカも賃金上昇の傾向に

中国国内における賃金上昇の影響もあり、新たに生産拠点として選ばれる国はタイやベトナム、インドなど東南アジアやアメリカにシフトしてきました。しかし中国の賃金が上昇したように、これらの国の賃金も上昇傾向にあるため、結局は、安い人件費の恩恵がいつまで受けられるかは分からないのです。

デメリット2・為替の変動

為替の変動による売上資産の目減りなども注意すべき点です。為替変動による影響について軽くおさらいしましょう。

為替が円安の場合

■「売り上げ」を日本へ円建てで送金する場合や輸出取引 ⇒ 為替差益が生じる可能性がある
■「支払い」を現地の通貨で行う場合や輸入取引 ⇒ 為替差損を被る可能性がある

為替が円高の場合

■「売り上げ」を日本へ円建てで送金する場合や輸出取引 ⇒ 為替差損を被る可能性がある
■「支払い」を現地通貨で行う場合や輸入取引 ⇒ 為替差益が生じる可能性がある

デメリット3・現地人材の管理や育成の難しさ

現地人材の育成や管理の難しさは、言葉の違い、文化の違い、国内情勢の違いによるものが大きいでしょう。こちら側の努力だけでは解決が難しいため、現地の違いに合わせた対応が必要となります。

言葉の壁

海外拠点を置くうえで、現地人材の育成や管理を困難にする要因は言葉の違いです。日本企業の海外進出先では、日本語がわかる地域はほとんどありません。そのため現地語の通訳の確保やWebサイトの多言語化、現地語による書類作成やマニュアルの整備などが必要となります。

定着率の低さ

海外の現場労働者は、より良い雇用条件の職場へ簡単に転職してしまいます。転職に対する垣根の低さもあり、海外の労働市場はかなり流動的です。雇用した労働者が突然来なくなったり、技術指導を行っていた労働者を引き抜かれたりというトラブルも少なくありません。

デメリット4・現地の法制度や規制・経済情勢

企業が海外進出を考えるうえで重要になってくるのは現地の法制度や規制、政治や経済情勢など国家を取りまくカントリーリスクへの対応です。

法制度や規制

それぞれの国には、それぞれの法制度や規制が存在します。事業を起こすにあたり、現地の法令を遵守することは当然のことですが、法令そのものが改定される可能性についても留意します。特に政情が不安定な地域は、急な改定がなされることもありえるため細心の注意が必要です。

政治や経済情勢

現地国の政治や経済情勢、日本との関係性も海外進出成功の可否をになう重要な要素です。直近の出来事ですと、韓国と日本の関係性の悪化による企業の撤退や、新型コロナ流行による各国の情勢悪化などが上げられます。

日本企業が海外事業を成功させる秘訣

言葉の違い、文化の違い、制度や情勢の違いなど日本企業が海外事業を成功させるためには、様々な課題があります。そういった課題を軽減する一つの手段としてBPOの活用が上げられます。

BPOで人材確保

海外事業のバックオフィス業務を日本のBPO業者に委託することで、現地で総務や人事など管理を行う専門性の高い人材の育成や確保をする必要がなくなります。コミュニケーションも日本語で行え、業務の品質も確保できるため円滑なサポートが期待できます。

効率化で人件費削減

日本企業にアウトソーシングするとコストが高いと思われがちですが、業務フローの改善と業務量に合わせた委託が可能なため、実際は効率的にコストがかけられます。採用や人材育成のためのコストをかけずに、必要な時に必要な業務支援が受けられるのは大きな魅力でしょう。支払いに関しても日本円建てで行うことができるため、為替変動で支払金額が左右されることがありません。

カントリーリスクの軽減

バックオフィス業務である各種管理を日本で行うことによって、海外拠点に対しても日本本社のルールを徹底させることが可能です。海外拠点の状況がつぶさに確認できるため、現地国の法令に対する国民認識の違いや不正の横行、さらには現地国内の情勢悪化などによる混乱を軽減することができます。

まとめ

日本市場の拡大が望めない現状であるため、企業の海外進出は必然と言えるでしょう。

しかし、海外進出にはメリットとデメリットを見据えたリスク管理が非常に重要です。そのため管理部門を日本に据え置くことは、海外拠点の運用コストを抑え、リスクをコントロールするための一つの手段となりえます。

さらに、BPOを活用すれば自社で全ての管理を行うよりも人件費を抑えることもでき、事業の拡大を行う場合も足りない人手を補う即戦力となる得るでしょう。

海外拠点の運用をよりスムーズに進めるため、ぜひ日本のアウトソーシングを上手に活用しましょう。

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