
経理アウトソーシングというと、「人が足りないから外に出す」「採用できないから任せる」といった文脈で語られることが多くあります。しかし、ママさん総研がこれまで在宅ワーク・非同期運用・業務設計の現場で数多くの経理業務に関わってきた中で感じるのは、経理アウトソーシングの成否は人手不足とは別のところで決まるという事実です。
本当に重要なのは、経理業務がどのような構造で成り立っているかが見えているかどうかです。
本記事では、Mamasan&Company が実務として経理業務を回し続けてきた立場から、経理アウトソーシングを「外注」ではなく経営判断を支える構造改革として機能させるための考え方を解説します。
経理アウトソーシングを人手不足の延命策として使うと失敗します
経理アウトソーシングを検討するきっかけとして、現場でよく聞くのは次のような声です。
・経理の採用ができない
・管理部門が常に手一杯
・月次や決算が回らない
こうした状況自体は、決して珍しいものではありません。
しかし、この理由だけで経理アウトソーシングを導入すると、高確率でうまくいきません。理由はシンプルです。
忙しさの正体を分解しないまま、作業だけを外に出してしまうからです。
経理業務の中には、
✔入力
✔チェック
✔承認
✔判断
✔分析
といった異なる性質の仕事が混在しています。この構造を整理しないままアウトソーシングすると、
・確認や差し戻しが増える
・問い合わせが社内に集中する
・結局、経理部門の負担が減らない
という結果になります。
経理アウトソーシングの失敗は、外注先の能力不足ではありません。経理業務を構造として捉えられていないことが原因です。
経理業務は作業ではなく判断の集合体です
経理業務は「数字を処理する仕事」と思われがちですが、実態はまったく異なります。実務の現場では、日々無数の判断が発生しています。
・どの勘定科目に計上するか
・例外取引をどう扱うか
・この取引をどこまで確認するか
これらは、マニュアルだけでは完結しません。だからこそ、経理業務は属人化しやすくなります。ママさん総研が見てきた現場でも、「この人がいないと分からない」「聞かないと判断できない」という状態が当たり前になっている企業は少なくありません。
経理アウトソーシングの本質は、判断と作業を切り分け、作業だけを外に出せる構造をつくることにあります。
業務プロセスを可視化しない経理アウトソーシングは必ず破綻します
経理アウトソーシングを成立させる前提条件は明確です。経理業務がプロセスとして可視化されていることです。
具体的には、
・誰が
・どのタイミングで
・何を見て
・どの基準で判断しているのか
これが言語化・図式化されている必要があります。
ここで言う可視化は、単なる業務一覧ではありません。フローチャートやマニュアル、ルールを通じて、「ここまでは外に出せる」「ここからは判断が必要」という境界線を明確にする行為です。
この工程を飛ばした経理アウトソーシングは、外に出した瞬間から崩れ始めます。
経理アウトソーシングの成否は「残す判断」を決められるかで決まります
経理アウトソーシングで最も重要なのは、「何を外に出すか」ではありません。「何を社内に残すか」を決めることです。
たとえば、
💡月次・年次をどう読み解くか
💡経営にどの数字をどう返すか
💡どの変化を異常と判断するか
これらは、外注すべき仕事ではありません。
経営と一体になった判断領域です。
正しい経理アウトソーシングとは、
・作業は外に
・判断は内に
という役割分担を、構造として設計することです。
経理アウトソーシングはDXの代替ではなく前提条件です
経理DXが進まない理由は、ツールの問題ではありません。最大の要因は、業務構造が整理されていないことです。
・属人化した業務
・例外だらけの運用
・暗黙の判断基準
この状態でツールやAIを導入しても、現場は混乱します。経理アウトソーシングは、業務を分解し、可視化し、標準化するプロセスそのものです。
つまり、経理アウトソーシングはDXの代替ではなく、DXが成立するための前提条件なのです。
組織型アウトソーシングが経理に適している理由があります
経理業務は、個人に依存したアウトソーシングと相性がよくありません。
・継続性が求められる
・判断基準の共有が不可欠
・ミスが許されない
この条件を満たすには、
個人ではなく組織で受ける構造が必要です。
Mamasan&Companyでは、
組織型テレワークという形で経理業務を運営しています。
✔業務はフローとマニュアルで管理
✔複数人でのチェック体制
✔判断基準を共有する仕組み
この構造があるからこそ、在宅・非同期でも経理業務は安定します。
経理アウトソーシングの本当の成果は経営の視界が開けることです
正しく設計された経理アウトソーシングの成果は、単なる工数削減ではありません。
💡月次が早くなる
💡数字のブレが減る
💡経営判断が前倒しになる
これは、経理部門が「処理部門」から経営を支える機能に戻った結果です。
経理アウトソーシングとは、経理を弱くする施策ではありません。経理を本来の役割に戻す施策です。
経理アウトソーシングを検討する企業が最初にやるべきこと
経理アウトソーシングを検討する際、最初にやるべきことは外注先探しではありません。
自社の経理業務を構造として見直すことです。
・判断と作業を分ける
・例外を洗い出す
・本当に必要な経理業務を定義する
この整理ができたとき、経理アウトソーシングは経営の武器になります。




